ヤンマーホールディングス 取締役(CBO) ブランド部長 長屋明浩氏(撮影:今祥雄)

「なぜ変えるんだ、という声を含めて非常に話題になり、その後は9割がポジティブな意見に変化しました」──。ヤンマーホールディングス取締役CBO(Chief Blanding Officer)の長屋明浩氏は、「9代目ヤン坊マー坊」を選ぶ一般投票をこう振り返る。創業113年、事業展開が多岐にわたりBtoBを主力とする企業が故の、ブランディングの難しさや認知度低下に対し、同社はどのような施策に取り組んでいるのか。

※本稿は、Japan Innovation Review主催の「第13回Marketing & Sales Innovation Forum」における「特別講演:ブランディングとデザイン/長屋 明浩氏」(2024年6月に配信)をもとに制作しています。

エンジン製造を軸に事業を多角化したヤンマー

 1912年に創業したヤンマーは、1933年に世界で初めてディーゼルエンジンの小型化、実用化に成功した会社である。その後、エンジン製造を基軸にし、農機や建機などさまざまな産業機械を製造し、事業を拡大していった。現在、ヤンマーグループとしての売上は約1兆814億円にのぼる(2024年3月期決算)。

 同社のブランディングを担当する長屋氏は、1983年にトヨタ自動車に入社、デザイナーとしてあまたの自動車を開発してきており、レクサスの国内ローンチ時にブランディングを担当した経歴を持つ。

 ブランディングが求められていたヤンマーの状況、それに対する具体的施策について語った長屋氏の講演内容を再構成してお届けする。