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「顧客志向」によって価値創造を実現するには、経営層とマーケターとの協働が不可欠だ。一方、マーケターの役割を明確に把握している経営トップは少なく、認識のギャップが生じやすい。そこで本稿では、『世界のトップマーケターだけが知っている「12の成功法則」』(トーマス・バルタ、パトリック・バーワイズ著/田中恵理香訳/日経クロストレンド監修/日経BP)から、内容の一部を抜粋・再編集。マーケターの役割とトップマーケターに共通する行動様式を解説する。
成功を収める企業は顧客とのコミュニケーションを惜しまない。その具体的方法とは?
デスクを離れる
『世界のトップマーケターだけが知っている「12の成功法則」』(日経BP)
こう言うと、多くのマーケターは、おおむね同意するだろう。ビジネスに関する優れたアイデアは、高度なリサーチから生まれるのではなく、顧客と面談したり何か一緒にしたりするローテクな活動から生まれるものだ。とはいえ、今日のようにひっきりなしに時間に追われる環境では、オフィスを出て顧客と有意義な時間を過ごすことは難しい。筆者(バルタ)が最近実際に体験したことを紹介しよう。
銀行の取締役たちに、定期的に顧客との会合を開いてはどうかと提案したところ、取締役の一人に「すでに1日12時間も仕事をしている。そんな会合をいつ持てるのか?」と言われた。銀行ではもう何十年も、外部の専門家が実施する顧客調査に頼ってきたため、銀行員は顧客に接することがなくなっていた。
話し合いを進めるため、私は取締役の全員に、この場限りにしておくので、勤務時間をどう配分しているかを教えてくれるようお願いした。次の5つの分類に相当する業務時間はだいたいどれぐらいかというものだ。(1)業務の主導・監督、(2)生産性が高い会議、(3)生産性が低い会議、(4)社内連絡のメール、(5)その他、である。集計した結果を見せると、みな声も出なかった。
生産的業務である (1)と(2)に配分される時間は60%で、残りの時間は、非生産的と考えられる業務に配分されていた。この結果を見た出席者は、実は顧客と会う時間を捻出できるのだと、あっさり同意した。







