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「顧客志向」によって価値創造を実現するには、経営層とマーケターとの協働が不可欠だ。一方、マーケターの役割を明確に把握している経営トップは少なく、認識のギャップが生じやすい。そこで本稿では、『世界のトップマーケターだけが知っている「12の成功法則」』(トーマス・バルタ、パトリック・バーワイズ著/田中恵理香訳/日経クロストレンド監修/日経BP)から、内容の一部を抜粋・再編集。マーケターの役割とトップマーケターに共通する行動様式を解説する。
優れたマーケティングリーダーが、自社内で「投資家のように行動する」理由とは?
投資家のように行動する
『世界のトップマーケターだけが知っている「12の成功法則」』(日経BP)
「株主さまへ。当社の今期の純利益は183億ドルでした。A種株式、B種株式ともに1株あたりの帳簿価格が8.3%上昇しました。過去50年の間に、1株あたりの帳簿価格は、19ドルから14万6186ドルに値上がりしています。これは、合算すると年19.4%の値上がり率です」
著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いてきた米投資会社Berkshire Hathaway(バークシャー・ハザウェイ)の年次報告書の冒頭にある言葉を読めば、同社の株主にとって何が重要かは疑いの余地がない。リターンだ。冒頭で同じような内容を伝えるマーケティングリポートを見つけようとしたら、時間をかけ苦労して探し出さなくてはならない。
成功するマーケティングリーダーは、投資家のように立ち回る。そうすれば社内の人が分かってくれるだろう。マーケティング予算を投資資金のように扱うのだ。予算の増額を要求しても、場合によっては削減を提案したとしても、時機に即していれば問題はない。
「優秀なマーケティングリーダーは、どこへ投資すれば顧客とのつながりをつくるのに最も有効かに着目する」と、米国の有名なチョコレートメーカーである米Hershey(ハーシー)でCMOをしていたピーター・ホースト氏は言う。そのようなマーケティングリーダーは、経営層の頭の中で確実に社内の「収益陣営」に入っている。
私たちの調査では、投資家のようなマインドセットになってリターンを生み出すことが、ビジネスにインパクトをもたらす鍵だと示されている。
では、考慮すべき戦略をいくつか挙げよう。







