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 どんなに優れた企業でも、環境変化に適応できなければ衰退は免れない。変化のスピードが増す現代では、組織はあっという間に古び、適応不全に陥ってしまう。その危機感こそが、多くの企業が変革に挑んできた理由だ。本連載では『なぜあの会社は、時代の変化に強いのか? 生き残る企業が持っている「変革の遺伝子」』(大池拓著/クロスメディア・パブリッシング)の一部を抜粋、再編集。著者が支援した400社の企業・組織で成果が実証された「実践的な組織改革の考え方」を紹介する。

 企業に変革が求められる根本理由とは何か? 経営陣が変化を避けた組織のケースから、変革の重要性を明らかにする。

変革が必要なのは「業績の悪い会社」だけではない

 企業が変革を求められる状況はさまざまです。たとえば資金繰りが困難になっていたり、経営状態が悪化していたりするような場合は、変わらざるを得ないでしょう。しかし変革とは、必ずしもそうしたわかりやすい変曲点だけで必要とされるわけではありません。

 少し乱暴な言い方ですが、変革を求められるのは、「すべての企業」だと言えます。

 たとえば日本では、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%になると推計されています。そこに対策を講じない企業はあるのでしょうか。

 ほかにも、デジタル化やキャッシュレス化が進むなかでのDX(デジタルトランスフォーメーション)や、AIとの共存など、企業が求められる動きは数多くあります。こうした変化に対応しない企業が、生き残っていくことはできるでしょうか。

 ビジネス環境ではさまざまな課題が存在し、どんな企業もその課題に向き合わずにはいられないはず。収益化のため、事業拡大のため、社員のため、株主還元のため――、変革を必要としない企業は存在しないと言っても過言ではないでしょう。5年後、10年後、社会の状況はさらに変化し、いまよりも大きな困難が待ち受けているかもしれません。