「ビジョナリー型」と「企業再生型」、自社はどちらのタイプか?VTT Studio / Shutterstock.com
どんなに優れた企業でも、環境変化に適応できなければ衰退は免れない。変化のスピードが増す現代では、組織はあっという間に古び、適応不全に陥ってしまう。その危機感こそが、多くの企業が変革に挑んできた理由だ。本連載では『なぜあの会社は、時代の変化に強いのか? 生き残る企業が持っている「変革の遺伝子」』(大池拓著/クロスメディア・パブリッシング)の一部を抜粋、再編集。著者が支援した400社の企業・組織で成果が実証された「実践的な組織改革の考え方」を紹介する。
変革には「ビジョナリー型」「企業再生型」という2つのタイプがある。それぞれが得意とする課題と注意点は?
変革の2つのタイプ
『なぜあの会社は、時代の変化に強いのか? 生き残る企業が持っている「変革の遺伝子」』(クロスメディア・パブリッシング)
変革には、①ビジョナリー型、②企業再生型、の2つのタイプがあります。それぞれの特徴を簡単に解説していきます。
変革のタイプ① ビジョナリー型
ビジョナリー型とは、「将来のありたい姿や展望」を表したビジョンを目指して変革活動を進めるもののこと。もちろん、ビジョンを達成するための具体的な目標や達成地点を定量的に表したゴールは必要ですが、基本的には言語化されたビジョンに向かって活動を進めていきます。この例を見てみましょう。
大手工作機械メーカーの保守点検サービス子会社では、「お客様の機械を止めない」という明確なビジョンを掲げ、社員の帰属意識から商品戦略立案に至るまで全社的な変革を推し進めています。同社は以前から親会社の幹部社員を社長として受け入れてきましたが、4年前に改革派の社長が着任したことを機に、専門部署を設置して、会社のミッション、ビジョン、バリューを明文化。社員の行動変容を促し始めました。
たとえば、大半が地方拠点に在籍するサービス員を含め、全社員を本社に呼び集めて、全社変革ワークショップを企画し、社長自ら現状変革の意義を説くといったことです。変革プロジェクトのベストプラクティス表彰も実施しています。






