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 起業家(アントレプレナー)とは、特別な才能を持つごく一部の人だけを指すのか。それとも、誰もがなり得る存在なのか――。本稿では『アントレプレナーズ』(澤田貴之著/創成社)から内容の一部を抜粋・再編集。さまざまなケースを通じ、時代を超えて必要とされるリーダーたちの姿に迫る。

 出版、映画、放送、音楽、テーマパーク…。アニメーションのクリエイターとしてだけでなく、総合エンタメ産業の経営者としても圧倒的なビジネス手腕を発揮したウォルト・ディズニー。稀代の天才が描いた「夢のビジネスモデル」とは?

夢の始まり ディズニーのビジネスモデル

アントレプレナーズ』(創成社)

 ファンタジーや人気キャラクターを生み出す源は、漫画、アニメ、映画、ゲームなど幅広い。クリエーターたちによって創造されたファンタジーやキャラクターは、派生的に複数の媒体や玩具をはじめさまざまな商品に体現化され、今日わたしたちの前にあふれている。

 これらのファンタジーの権利を有しビジネスとして拡大していく主体は、出版社、映画会社・スタジオ、TV局など状況によって異なるが、それはもう当初の創造主であるクリエーターたちの手を離れてしまっていることを意味する。

 むろんクリエーターたちは引き続き作品やプロダクトの制作に関与し、状況に応じて印税、著作権料、ボーナスを得ることができる。クリエーターと経営者の双方をこなすことは困難であり、この点についての成功例は少ない。

 漫画家からスタートしたウォルト・ディズニー(1901-1966)は、この点では例外的だったかもしれないが、ほどなく彼は経営者への道に専念していった。今日ウォルトが創り上げたビジネスモデルは、漫画やアニメ業界だけでなく、エンタメ業界をはじめビジネスの成長と拡大の模範とされてきた。