スウェーデンのフィンテック企業「クラーナ」Mats Wiklund / Shutterstock.com
生成AIをいかにビジネスに実装していくかが求められる一方で、その進化の速さからこの技術の未来を見通すことは難しい。では、AI活用が前提となる時代に、私たちは何を押さえておくべきなのか。米グーグルでエンジニアとして活躍後、台湾に戻りトップクラスのスタートアップ経営者となった著者が記した『AI世界を生き抜く 根本原理とルール』(セガ・チェン著/日経BP)から内容の一部を抜粋・再編集。
これまで「使えない」と言われてきたスマートアシスタントを例に、AIの進化がビジネスにどれほどのインパクトを与えるのかを探る。
AIアシスタントが生活の中心に
『AI世界を生き抜く 根本原理とルール』(日経BP)
私(セガ・チェン)のメモでは、あらゆる場所でAIアシスタントが活躍する未来を想定し、AIの応用分野を30のテーマに分類している。
ゲーム、医療、建築、教育、ロボットなどの産業分野への応用をはじめ、セキュリティ、法規制、神経模倣型チップ、AIと量子コンピュータの融合などが含まれている。特にスマートアシスタント、ロボット、新薬開発、医療の分野には注目している。これらの分野は、AIの進化によって即座に大きな変化がもたらされると考えているからである。
まず、ChatGPTは自然言語を用いて人間とやりとりできることをすでに証明しており、人とソフトウエアの協力がますます自然になって、音声を介したやりとりが増えていくだろう。例えばスプレッドシートの操作や情報検索、文章の段落作成などでは、話すことで文字入力よりもはるかに速く作業を進めることが可能になるかもしれない。
現在、多くの人がスプレッドシートを使いこなしており、私自身も毎日操作している。コピペが日常の作業であり、1つのシートで解決できない場合は2つ使えばよいという具合である。しかし、将来はスプレッドシートが高度に自動化され、作業者は話しかけるだけで作業を完了できるようになるだろう。
簡単な指示を与えるだけでAIがタスクを実行してくれるので、これまでのような学習曲線を描くことは不要であり、シート内のAIアシスタントにどんな問題でも気軽に質問できるようになる。






