写真提供:©Rafael Henrique/SOPA Images via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ

 次代の世界経済をけん引する存在として注目が集まるインド。同国のさまざまな分野で成功を収め、世界的にも影響力を持つリーダーたちを紹介しているのが、『インド発 世界を変える11のリーダーシップ』(Blume Ventures著、カド・インベストメント株式会社、重松秀樹訳/中央経済社)だ。同書の内容の一部を抜粋・再編集、インドで現在起きていることを把握できると同時に、ビジネスのヒントとなる内容を紹介する。

 インドのスタートアップの1社に過ぎなかったFreshworksがなぜグローバル企業にまで成長できたのか。その背景にある同社独自の人事戦略、資金調達法を探る。

■ Lesson4:学歴にはこだわらない あなたの才能を見つけたい

 Freshworksの創業初期、ギリシュは「インドには専門的な才能が不足している。」という大きな課題に直面しました。彼は当時を振り返り、こう語りました。

「2011年に最初のマーケティング担当者を採用しようとしたときのことだ。インドではソフトウェアマーケティングの実務経験を持つ人材を見つけるのは本当に難しかった。一方で、Silicon Valley(シリコンバレー)では、インサイドセールス、カスタマーマーケティング、デジタル、オフラインマーケティングなどSaaSマーケティングに関する9つの専門領域それぞれに特化したスペシャリストを見つけることができた。」

 この課題を克服するために、Freshworksは従来とは異なる革新的な採用・人材育成戦略のアプローチを採用しました。ギリシュはマーカス・バッキンガムとカート・コフマンの著書『First, Break All The Rules(まず、ルールを破れ)』にインスピレーションを受け、「特定のスキルや経験ではなく、生まれ持った才能に焦点を当てる」という採用哲学を築き上げました。彼は次のように説明します。

「スキル、知識、才能を見分ける方法を学ばなければならない。スキルは簡単に教えられるし、学ぶことができる。知識には、事実に基づく知識と経験に基づく知識がある。事実に基づく知識は簡単に教えられ、経験に基づく知識は時間が経つにつれて自然と定着することもある。しかし、才能は教えることができない。それは生まれ持ったものなのだ。」