写真提供:©Pavlo Gonchar/SOPA Images via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ

 次代の世界経済をけん引する存在として注目が集まるインド。同国のさまざまな分野で成功を収め、世界的にも影響力を持つリーダーたちを紹介しているのが、『インド発 世界を変える11のリーダーシップ』(Blume Ventures著、カド・インベストメント株式会社、重松秀樹訳/中央経済社)だ。同書の内容の一部を抜粋・再編集、インドで現在起きていることを把握できると同時に、ビジネスのヒントとなる内容を紹介する。

 ヘルプデスクのSaaS企業として最後発だったインドのFreshworksが、なぜグローバルで成功できたのか。そこには、どんなビジネスにも適用できる最強の方法論があった。

インド発SaaS企業Freshworksがグローバル市場を制覇するまで

「Zendesk、Autotask、Freshdesk(Freshworksの旧社名)――これらは優れたカスタマーサービス管理ソフトを提供する素晴らしいスタートアップ企業だ。しかしこの分野にいる他の企業同様、彼らも苦境に立たされる可能性がある。」

 これは、『マイクロソフトはたったいま、この3社を廃業に追い込んだ。』というタイトルで『フォーブス』に掲載された記事の一節です。 この記事はマイクロソフトがクラウドベースの顧客エンゲージメント・プラットフォームであるParatureを1億ドルで買収した際に書かれたものでした。

 しかし、10年以上にわたり根気強く事業を行い、迷惑企業は‟グローバルSaaSの巨人” へと変貌を遂げました。2024年11月時点で年間売上は6億8600万ドル、社員数は5000人以上に達し、6万8000社以上の顧客基盤を抱えるFreshworksは、いまや10億ドル企業への道を着実に歩んでいます。

 過去15年ほどの間に起きたことは、インドからグローバルなテクノロジー企業を構築するための、理想的なお手本となる成功ストーリーでした。 Freshworksは批判を黙らせただけでなく、インドの起業家たちが世界を舞台に戦うための新たな成功パターンを作り出し、多くの人が不可能だと信じていたことを実現させたのです。

 現在、Freshworksは間違いなく、インドのSaaSエコシステムにおける真のベンチマークとなっています。インド南部のTiruchirappalli(ティルチラーパッリ)出身のギリシュ・マトゥルブータムは、Freshworksのカリスマ的な創業者兼エグゼクティブ・チェアマンであり、インドのSaaS業界における元祖ともいえる起業家です。

 以下では、ギリシュがFreshworksと自らの成功をもたらした秘訣を紹介します。