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次代の世界経済をけん引する存在として注目が集まるインド。同国のさまざまな分野で成功を収め、世界的にも影響力を持つリーダーたちを紹介しているのが、『インド発 世界を変える11のリーダーシップ』(Blume Ventures著、カド・インベストメント株式会社、重松秀樹訳/中央経済社)だ。同書の内容の一部を抜粋・再編集、インドで現在起きていることを把握できると同時に、ビジネスのヒントとなる内容を紹介する。
インド最大手LCCインディゴ航空の成長のプロセスから学ぶ、「共感を醸成するリーダーシップ」と「強固な企業文化創造」の手法。
人的資本経営でインディゴ航空を成功に導いたアディティア・ゴーシュが人を中心とした企業を築くための指針
『インド発 世界を変える11のリーダーシップ』(中央経済社)
■Lesson2:共感にはビジネス上の価値がある
「ただの人事マネージャー。」
それは、ジャーナリストがインディゴ航空在任期間のアディティアを批判した言葉でした。彼らは“真のCEO”と比較し、アディティアを軽視するつもりでしたが、この批判がむしろ彼の非凡さを際立たせました。
「私にとって、人事部長だと感じてもらえることは誇りだ。」
アディティアはそう返し、悪意ある批判を新しいリーダーシップの宣言へと言い換えたのです。
アディティアはインディゴ航空、そして現在のAkasa Airでも従来とは異なるリーダーシップを貫きます。アディティアはこう説明します。
「救急室で手を切ってしまったら当事者には大きな痛みだが、医者が心臓発作の患者を診ているとしたら、それは軽視されるだろう。しかし、手を切った人は、心臓発作の患者と同じだけの注意を医者から期待している。CEOも同じ。社員は自分の問題に他の重要事項と同じレベルの関心を持ってほしいと思っている。」








