写真提供:©Ashish Vaishnav/©Jimin Kim/SOPA Images via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ
危機や不祥事への対応力の差は「組織文化」に起因している。多様性が重視される時代に、組織文化をどのように築き、生かしていけばよいのか。「CQ(文化的知性)」を切り口に、国内外の企業や自治体で組織の課題を解決してきた著者が記した『強い組織は違いを楽しむ』(宮森千嘉子著/日本能率協会マネジメントセンター)から内容の一部を抜粋・再編集。「心理的安全性」を重視しすぎることの落とし穴とは?
多様性を活かす心理的安全性
『強い組織は違いを楽しむ』(日本能率協会マネジメントセンター)
「自分のいる職場は、異なる背景を持つ多様性のあるメンバーが安心して互いに挑戦していけるだろうか。厳しい質問を投げかけ、議論を行いながら、共創していける環境だろうか?」
こんな問いから「心理的安全性」というキーワードを思い浮かべる方もいると思います。
そのままの自分の意見や気持ちを表現しても拒否や非難をされない感覚があるという、心理的安全性への関心は近年急速に高まりました。取り組んでいるチームも多いでしょう。
心理的安全性の第一人者であるハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授の研究では、チームに対して抱いたアイデアや懸念などを、恥や報復を恐れずに共有できる環境があることでチームの受容性とパフォーマンスが向上するという結果があります24。
第3章に、組織との関わりで、個人の感情や価値観、経験といった自己を道具として用いることに触れました。これも心理的安全性という土壌があってこそ、臆さず用いることができるでしょう。
心理的安全性の重要性については、たくさんの書籍や研究が発表されています。そのため、ここでは詳しくは触れません。
むしろここで採り上げたいのは、心理的安全性を重視しすぎることの落とし穴です。
24 Amy C. Edmondson, Psychological Safety and Learning Behavior in Work Team, 1999 他






