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危機や不祥事への対応力の差は「組織文化」に起因している。多様性が重視される時代に、組織文化をどのように築き、活かしていけばよいのか。「CQ(文化的知性)」を切り口に、国内外の企業や自治体で組織の課題を解決してきた著者が記した『強い組織は違いを楽しむ』(宮森千嘉子著/日本能率協会マネジメントセンター)から内容の一部を抜粋・再編集。組織文化の本質について考える。
組織文化とは何か?
『強い組織は違いを楽しむ』(日本能率協会マネジメントセンター)
世界40カ国の経営陣と従業員3200名を対象とした「グローバル組織文化調査2021」によれば、「組織文化は戦略や経営モデルより重要である」と答えた人は67%、「組織文化は変革実現のための取り組みを成功に導いている」との回答は72%でした2。
別の調査によれば、94%の経営幹部と88%の従業員が、独自の職場文化がビジネスの成功には重要だと考えています3。
組織文化(Organizational Culture)とは何なのでしょうか?
カルチャーの語源「colere」には「育てる」という意味が含まれます。組織文化は意図的に育てるものであり、時代や環境に応じて、変化します。
組織文化は現在進行形です。組織が戦略やその都度の優先事項を見直し続けるように、組織文化も行動やプロセス、実践に伴って進化させ続ける必要があります。組織文化とは、組織にまつわる「関わり方」の全てではないかと私は捉えています。
組織文化は3つの関わり方
「文化と経営の父」と呼ばれるヘールト・ホフステード先生4は、組織文化を考えるにあたって目を向けるべき関わり方が3つあると述べています。①組織内、②仕事、③組織外との関わり方です。
2「グローバル組織文化調査2021」(PwC、2021)
3 “Core beliefs and culture Chairman’s survey findings”(Deloitte, 2012)
4 オランダの社会心理学者・経営学者。1960年代後半から「文化」という抽象的な概念に着目し、文化と経営の領域における世界的なパイオニアとなった。博士の研究論文や著作は、毎年1万件以上引用され、この分野における最も長い歴史と継続的な実証研究の基盤を築いてきた。また、『ウォールストリートジャーナル』が選ぶ最も影響力のあるビジネス思想家トップ20に選出され、10カ国で合計10件の名誉博士号を取得している。著書“Cultures and Organizations: Software of the Mind”は、全世界で累計50万部以上を売り上げ、20カ国語に翻訳されている。日本語版は『多文化世界―違いを学び未来への道を探る』(石井八郎、石井紀子訳、有斐閣、2013)。






