SGホールディングス、C&Fホールディングス、公開買い付けについての会見。写真は右からSGHDの松本秀一社長、C&FロジHDの綾宏将社長。
写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ

 近年のアクティビストの活発な動きに代表されるように、企業支配権が市場原理の下で売買される「企業支配権市場」に注目が集まっている。本連載では『アクティビストと企業支配権市場 日本企業に変革と再編を迫るマーケットの猛威』(大熊将八著/金融財政事情研究会)から、内容の一部を抜粋・再編集。上場企業がアクティビストと向き合うための実践的対応法を考えていく。

 今回は、「同意なきTOB」を仕掛けられたC&Fロジホールディングス、買収提案を受けた東洋建設の事例から、有事における企業の公正・客観的なプロセスとは何かを考える。

実際に買収提案を受けたらどう動くべきか

■ C&Fの事例

 本件が「同意なきTOB案件」となった発端は、2024年3月21日に丸和がC&Fに対して予告なくTOB開始予定を公表したことだ。この時点ですでに経営方針やシナジーだけでなく、公開買付価格(3000円)と5月上旬から6月中旬までというTOBスケジュールまで明確に示されていた。さらに、仮に取締役会及び特別委員会からの賛同を得られない場合であってもTOBを行うことが予告されていた。

 それを受け、C&Fは4月1日に特別委員会を組成するとともに、「丸和の提案に対する真摯な検討」「積極的なマーケット・チェックの実施」「(丸和への打診を含む)デュー・デリジェンスの受け入れ」を通した検討を推進した。

 具体的な検討事項は多岐にわたるが、特にポイントとなったのはマーケット・チェックだ。丸和からの提案受領以降、複数の主体(4月9日時点で9社)から買収についての関心を受領していたことを背景に、積極的なマーケット・チェックとして意向表明書の提出を依頼し、4社に対してデュー・デリジェンスのプロセスへ招聘した。