写真提供:共同通信社

 世界で初めて時価総額3兆ドルを超えたアップル。iPhone、iPad、Apple Watchなど革新的な製品を世に送り出し、次々に人々の生活を変えてきた。また、常にイノベーションを起こしながら、高成長・高収益を維持している点で投資家の関心も集める。本連載では『最強Appleフレームワーク ジョブズを失っても、成長し続ける 最高・堅実モデル!』(松村太郎、德本昌大著/時事通信社)から、内容の一部を抜粋・再編集。GAFAMの一角を占めるビッグテックは、ビジネスをどのように考え、実行し、成果を上げているのか。ビジネスフレームワークからその要因を読み解いていく。

 今回は、アップルが新製品発表時に開催するスペシャルイベントや決算発表で披露する数字を例に、「顧客満足度」重視のポジションを貫く同社のマーケティング戦略について分析する。

アップルのスペシャルイベントで何が起きる?

最強 Apple フレームワーク』(時事通信社)

 アップル(Apple)は新製品を発表する際、世界中の記者を集めてステージ上でプレゼンテーションを行う「スペシャルイベント(Special Event)」を開催していました。

 アイフォーン(iPhone)やアイパッド(iPad)、マック(Mac)などの主力商品を、1~2時間にわたり、その製品数に応じて丁寧に説明するのです。

 パンデミックで世界中の人々の移動が制限される中、2020年6月のWWDCのプレゼンテーションから、事前に撮影・収録した映像を配信する方式に変更されました。

 現在も映像配信でのイベント開催が続いていますが、2022年からは、再び世界中の記者を集めた製品発表イベントを開催しています。

 引き続きプレゼンテーションは、事前収録の映像ですが、アップルにとって重要なのは「その後」でした。

 世界中の記者は、プレゼンテーションや映像を見た後、発表されたばかりの最新の製品をいち早く会場で手に取り、体験することができます。

 さらに、役員や製品担当者から詳細な説明が加えられる「ブリーフィング」が行われます。