写真提供:ロイター/共同通信イメージズ

 世界で初めて時価総額3兆ドルを超えたアップル。iPhone、iPad、Apple Watchなど革新的な製品を世に送り出し、次々に人々の生活を変えてきた。また、常にイノベーションを起こしながら、高成長・高収益を維持している点で投資家の関心も集める。本連載では『最強Appleフレームワーク ジョブズを失っても、成長し続ける 最高・堅実モデル!』(松村太郎、德本昌大著/時事通信社)から、内容の一部を抜粋・再編集。GAFAMの一角を占めるビッグテックは、ビジネスをどのように考え、実行し、成果を上げているのか。ビジネスフレームワークからその要因を読み解いていく。

 今回は、初代iPhone発表時にアップルがなぜ「携帯電話市場の1%」という販売目標を掲げたのか、そこから見える真の狙いを、「TAM/SAM/SOM」のフレームワークに沿って分析する。

「市場の1%のシェアが目標」

最強 Apple フレームワーク』(時事通信社)

 2007年、アップルはアイフォーンで、携帯電話市場への参入を果たしました。

 その発表を行う際、スティーブ・ジョブズはプレゼンテーションの終盤で、アイフォーンの販売目標についてふれています。

 ここでは、2006年に全世界で販売されたデジタルデバイスの数字の比較を行っていました。

 ゲーム専用機が2600万台、デジタルカメラが9400万台、MP3プレイヤーが1億3500万台、そしてPCが2億900万台。ちなみにアップルはMP3プレイヤーとPCの市場にすでに参入済みです。

 ここで示された携帯電話の世界販売台数は、桁違いの9億5700万台でした。

 そして、すでに他のデバイスに比べて圧倒的に多いこの数字には、まだまだ大きな成長余地があると位置づけたのです。

 そのうえでジョブズは、1%のマーケットシェア、すなわち1000万台の販売台数を、2008年のアイフォーンの目標の数字としました。

 実際の販売台数はどうなったでしょうか。