賢いつき合い方④ コンサルの提案を素直に受け入れる
コンサルタントに対して、「キミたちに経営の何がわかる?」というような懐疑的な姿勢を示す役員や社員などが必ずいる。
自分たちのやり方に誇りがあって、いまさらコンサルタントの意見など聞けないということもあるだろう。あるいは、以前にひどいコンサルティングを受けたせいで、コンサルに対する不信感を持つ場合もある。
しかし、最初から否定してかかる態度では、せっかくいい案が出てきても素直に受け入れることはできないだろう。
結果的には、大きな損をしてしまうことになるかもしれない。
虚心坦懐に、素直にコンサルタントの話に耳を傾けてほしいと思うことがしばしばある。その点ではユニ・チャームという会社はじつによくこちらの話を聞いてくれた。大いに効果が上がった例として、記憶に残っている。
最初に、社長の高原慶一朗さんから依頼を受けたのは、ペットフードの件だった。当時、同社の商品ラインナップは犬用が30種類、猫用が30種類もあった。そして、赤字が7億円もあった。
私が提案したのは、まず商品の種類を減らして犬用15種、猫用15種に絞ることだった。さらに支店も7つから東京、名古屋、大阪だけにする。「選択」と「集中」だ。
すると高原さんが呆れて、商品も半分、商圏も半分になったら2分の1×2分の1で4分の1になってしまう。そうすると、いまの売り上げ30億が7億になる。赤字の額と一緒じゃないかと。
私は反論した。「いや、現在のように商品も商圏も分散していてはダメだ」と。「もっと絞り込んで、販売する人も商品をよく理解した上で営業できるようにした方がいい。いまなんて商品が多すぎて、よくわからないまま売っている人も少なくないでしょう」と伝えたのだ。
最初こそ疑っていた高原さんだが、私たちの説明を聞いて、「よし、わかった」と言って、こちらの言うとおりにしてくれた。
すると6カ月たったら、売り上げがなんと倍増してしまった。言った通りの結果になったのだ。高原さんはそこから一気に、私たちのことを信用してくれるようになった。