年々、規模が拡大しているコンサルティング市場。戦略立案を手がける伝統的な外資系コンサルファームに加え、総合系・会計系、国内系、さらにはベンダー系まで、コンサル業界は百花繚乱(ひゃっかりょうらん)の様相だ。一方で、コンサルの質や使う側の姿勢が問われ始めている。本連載では、ボストン コンサルティング グループ(BCG)の元代表・堀紘一氏と元同社のコンサルタント・津田久資氏が、コンサルティングのあるべき姿を考察した『本物のコンサルを選ぶ技術』(堀紘一、津田久資著/クロスメディア・パブリッシング)から、内容の一部を抜粋・再編集。失敗しないコンサルの選び方と付き合い方を解説する。
第4回は、津田久資氏の視点から、「コンサルティングを成功に導くために企業側が留意すべきポイント」を解説する。
コンサルがファシリテーターになるといい
私自身は堀さんのようなカリスマ性があるわけではありません。自分で引っ張っていくのではなく、クライアントの企業の人たちにも参加してもらって、「一緒に考えよう」というスタイルを通しています。
具体的に言うと、企業の人たちにプレゼンテーションをしてもらいます。会社の売り上げや利益率を上げるためにはどうするか? シェアを拡大するためにはどうするべきか?
企業の人たちにまず考えてもらうわけです。
そのプレゼンを聞きながら、私は「ここはこう考える方がいいのでは?」とか、「なぜその考えにいたったのか?」、「いまの話は論旨が通っていないように思うけど、他の人たちはどう考える?」というように、質問したり話を振ったりするのです。
いわゆるファシリテーターとして、プレゼンの後の意見交換、議論を深めていく役割に徹するのです。
私は以前、博報堂時代にマッキンゼーに派遣されるような形で、キリンのコンサルティングを手伝ったことがあります。そのときに、このようなクライアント参加型のやり方を学びました。
参加型にすることで、クライアントが自分たちで考え、自分たちで答えを見つけるという最も大切なことを身につけてもらうことができると考えています。
議論を通して問題を発見し、解決していくことの面白さ、醍醐味を知ってもらうことはとても有益です。しかし残念ながら、多くのクライアントはその醍醐味を自ら放棄しているのが現状です。