謙虚さの3つ目の要素「学ぶ姿勢」は、他者からの学習、フィードバック、新しいアイデアに対してオープンであることを示しています。これは、オープンマインド、他者からのアドバイスや援助を求める意欲、学習意欲によって特徴づけられます。
DXの文脈では、学習に対する、この「学ぶ姿勢」の側面が特に重要です。テクノロジーの急速な進歩や仕事の専門化によって、新しいスキルを身につけ、新しい情報を吸収し、他者から学ぼうとする意志と意欲を持ち、教え上手なリーダーや従業員が、組織にはますます必要とされています。
そのため、リーダーは自ら学び、(「私はすでになんでも知っている」という態度とは対照的に)学び続ける姿勢を部下に示すことが重要です。
調査によると、リーダーが謙虚さを表現することで、部下のエンゲージメントや仕事への満足度が高まり、組織から離れる可能性が低くなることがわかっています。心理的安全性の高い環境では、部下も重要な知識と洞察力を持った価値ある貢献者とみなされます。これもまた、サーバント・リーダーシップの核となる原則です。
上司の何が気に入らないかをたずねた世論調査では、上位に、謙虚さとは正反対のことが出てきます。
ベクトル社が2023年に行った、「上司に関するアンケート調査」の結果によると、嫌いな上司の特徴として、回答者の63.4パーセントが「自分がすべて正しいと思っている」、53.2パーセントが「人の意見を聞かない」、44.6パーセントが「人を悪く言う」と答えています。
ネクストレベル社の2023年の「『嫌いな上司の特徴』についてのアンケート調査」では、回答者の33.9パーセントが「部下の意見を聞かない・聞き入れない」、30.7パーセントが「人に厳しく自分に甘い」を嫌いな上司の特徴としてあげています。
参加を呼びかけ、それに対応する
心理的安全性を育むステップの2つ目である「参加の呼びかけ」については、一対一の会話を通じて行うことができます。多くの従業員にとって、一対一は最も発言しやすい場面です。
また、フォーカスグループ、社内イベントなどを通じて従業員の意見を募ることもできます。昔ながらの投書箱を使ったり、社内サーベイを行ったり、スラックの投稿にコメントを依頼したりして、アイデアを求めるのも効果的です。
<連載ラインアップ>
■第1回 スティーブ・ジョブズの言葉に学ぶ 部下の士気を上げるには、なぜ“ムチ”より“アメ”がはるかに有効なのか?
■第2回 なぜ部下は、すぐにあなたを頼ってしまうのか? 指示待ち型の部下を自ら動かすための「11の戦略」
■第3回 なぜアメリカ人は、大げさな言葉で相手をほめるのか? 部下の心に響く「ポジティブ・フィードバック」とは
■第4回 グーグルでも実証 「心理的安全性」を高め、チームのハイパフォーマンスを生み出すための舞台設定とは?(本稿)
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