心理的安全性の妨げとなるマネジメントスタイルのもうひとつの側面は、上司がすべての答えを持っていると思われている場合です。上司がすべてを知っていると思われていたら、部下は自分の意見は重要ではないと感じ、発言を遠慮してしまいます。
上司が常に問題解決に関わると、
一方で、リーダーが謙虚な姿勢をとることは、心理的安全性を高めるのに有効です。謙虚さとは、自分がすべての答えを持っているわけではないと認めることです。ここでは、謙虚と謙遜を区別することが重要です。謙遜とは、自分の能力や価値などを下げて評価することです。謙虚は自分の価値を認め、ポジティブな自尊心を保ちながら、自信過剰、高飛車、傲慢な態度を見せないことです。
リーダーにふさわしい謙虚さをより正確に定義するには、ニューヨーク州立大学バッファロー校とワシントン大学の研究者による、「謙虚さとは、自分自身を正確に見ようとする姿勢、他者の長所や貢献を評価する態度、そして学ぶ姿勢を意味する」という定義が参考になります。
「自分自身を正確に見る」とは、謙虚なリーダーが自分自身を過大評価せず、自分が完璧でないことを自覚していることを意味します。謙虚なリーダーは自覚的であり、自分の限界を率直に開示します。自分の過ちを認め、現実的なフィードバックを歓迎します。
「他者の長所や貢献を評価する」ことは、他人が重要であり、自分よりもスキルが高かったり、貢献度が高かったりする可能性があると認識することです。この姿勢は、比較したり競争したりする従来の典型的な反応を超越することから生まれます。それは、相手の良い面を脅威と感じることなく認識し、評価することです。これは謙遜の一面ではありますが、リーダー側の自信も必要です。ただし、謙虚さを持つ人が部下や同僚の弱点や不得意な分野に気づかないというわけではありません。