- 悩みやミスを共有しても、恥ずかしさや報復を恐れることなく安心していられる
- 発言する時に、恥をかかされたり、無視されたり、非難されたりしないことを確信している
- 何かについてわからないことがあるときに質問できることを知っている
- 同僚を信頼し、尊敬している
- 対人的な恐怖によって行動を妨げられることがない
心理的安全性はエドモンドソン教授をはじめ多くの学者によって研究されてきたため、そのよい影響はすでに検証されています。心理的安全性のあるチームでは、間違いを素直に認めるため、問題がすぐに報告され、それにより迅速な是正措置がとられます。失敗から学んだり革新的アイデアが共有されたりしやすいため、創造性とイノベーションを生み出す環境がつくられています。
逆に、心理的安全性のないチームは皆が間違いを認めることを恐れ、人に非難されることが多いので、異なる考えを口にせず無難なことだけを言うようになってしまい、問題が解決されないまま放置されて、イノベーションが生まれにくくなります。
さらに、心理的安全性は、創造性とイノベーションを生み出すので、知識集約型の組織をよりよく機能させます。そのため、知識集約型であるといえる、DXを実践する組織にとっては、非常に有用な要素です。
心理的安全性は、多様なチームメンバーが自分らしくいられる環境をもたらすので、インクルージョンを実現するために不可欠な要素となります。
チームの心理的安全性を高めるには
エドモンドソン教授によると、心理的安全性の環境をつくるには、次の3つの段階があります。
- 舞台設定:発言の動機づけとそれを促す雰囲気づくり
- 参加を呼びかける:人々が発言する機会をつくる
- 生産的な対応:従業員が持ち出したものに適切に対応する
ひとつひとつ、みていきましょう。
従業員の発言を促すには、それをしやすい環境をつくることが必要です。そのために役立つことはいろいろあります。
ひとつは、失敗や問題、ミスを報告することに対するおそれを少なくすることです。これについては後述します。
もうひとつは、チームメンバー一人ひとりのアイデアや意見、提案がいかに重要であるか、つまり全体の成功にはメンバー一人ひとりの貢献が必要であることを強調することです。
3つ目は、チームのビジョンとそれに対するコミットメントの重要性を再認識させることで、人々のモチベーションを高めることです。そして最後に、上司の役割を再構築することです。この点で、エドモンドソン教授が提案していることは、サーバント・リーダーシップの概念とかなり近いものがあります。
あなたがもし部下から恐れられているような上司だとしたら、部下は気軽に発言することはできないでしょう。当たり前のことのように思えるかもしれませんが、上司を恐れることは、心理的に安全な環境をつくるうえで大きな障害となります。