伊藤忠商事 社外取締役の中森真紀子氏(撮影:川口紘)

 伊藤忠商事(以下、伊藤忠)では、2021年に「女性活躍推進委員会」を立ち上げ、同社の女性活躍に関する取り組みを支えてきた。この委員会の特徴は「社外からの視点」を持った組織だということ。委員の半数を社外役員が占めており、取締役会の諮問委員会として設置されている。いわば外部の目で客観的に同社の女性活躍を捉え、取締役会に答申する機関だ。具体的にどのような活動をしているのか。委員長を務める伊藤忠 社外取締役の中森真紀子氏に尋ねた。(後編/全2回)

【前編】メンバーの半数が社外役員の専門組織設置、「外からの目」で伊藤忠の女性活躍はどう変わったのか
■【後編】女性活躍の推進も「コミットメント経営」で 異色の組織に宿った伊藤忠の経営思想(今回)

この委員会が、女性活躍の施策に強い実効力を持たせる

――女性活躍推進委員会では、どのような活動をしているのでしょうか。

中森 真紀子/公認会計士、中森公認会計士事務所 代表、伊藤忠商事株式会社 社外取締役

ボードメンバーとしての経験は24年、10社以上で、IPO前後のベンチャー、東証プライム上場企業、ナショナルフラッグのスポーツ団体まで多岐にわたる。日本電信電話株式会社(現NTT)経営企画本部を経て、監査法人に入社。主に外資系企業の監査に従事。1996年に公認会計士登録。それ以降、監査、会計業務支援、デューデリジェンス、企業評価算定にも関わる。2023年度より伊藤忠商事株式会社 女性活躍推進委員会委員長。

中森真紀子氏(以下敬称略) 主な活動はいくつかあります。まずは伊藤忠の女性活躍推進に関わる方々と定期的に話し合い、社内の女性活躍の現状や、これからどう推進するのかといった方針について確認しています。トップマネジメントや人事・総務部などと話すことが多く、会社として何をしようとしているのか、どのような制度や仕組みを作りたいか、あるいは女性活躍の課題となっているものは何か。会社側の現況や考えていることを吸い上げていきます。

 次に、そこで出てきた内容を私たちの委員会で議論し、意見をフィードバックする他、必要なものは取締役会に答申・報告します。答申・報告された内容を取締役会が決定した場合には、これを監督する義務が生じ、強い実効力を持つこととなるのです。