創業から10年を迎えたフリマアプリ「メルカリ」。国内マーケットプレイスのGMV(※)が1兆円を突破するなど、日本のCtoCの代名詞として確固たる地位を築いてきた。しかし、メルカリの日本事業責任者を務める山本真人氏は、次の10年に向けて大きな変革を目指している。
「これまでのやり方や当たり前になってしまったものを壊して挑戦する。全部の領域で大胆にやっぱりやるべきだと思っています」と山本氏は語る。マーケットプレイス事業の拡大、スポットワークサービスへの参入、フィンテック事業とのシナジー強化などに加えて、AI技術の積極的な活用も視野に入れ、ユーザー体験の抜本的な向上とさらなる成長を目指す。
メルカリは、次の10年でどのような進化を遂げるのか。その戦略と展望に迫る。
※Gross Merchandise Valueの略称で「流通総額」を指す。販売実績や市場規模を表す際に用いられる。
GMV1兆円の達成と課題
――マーケットプレイスのGMV成長率が目標の10%に届かず9%にとどまりました。この要因をどのように分析していますか?
山本真人氏(以下・敬称略) 昨年度は、メルカリが創業10周年を迎え、ミッションを変更した最初の年度でした。これまでは主にC2Cのフリマ、マーケットプレイスにフォーカスしていましたが、10周年を機に「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」と価値提供の幅を広げました。
従来通りにサステナブルに伸ばすのではなく、次の10年のために模索してトライしてきた1年でした。結果として、年間GMVが1兆円を達成し、大きなマイルストーンを超えることができました。目標には届きませんでしたが、一定の手応えはあったと考えています。
外部要因としては、前年度のトレカ(トレーディングカード)バブルの反動がありました。一方で、越境事業が大きく伸び実を結ぶことができました。特に、国外からのバイイングパワーが強くなっているのを感じています。
――今年度はどのような施策で10%前後の成長を目指すのでしょうか?