新しいIT本部の役割とは
マクニカは、2030年に向けて「サービスソリューションカンパニー」へと進化しようとしている。半導体事業、ネットワーク事業に続き、各事業部で培ってきた技術、ノウハウを生かしながら、新規事業を立ち上げていく。いくつもの新規事業に対して人材や資金、ノウハウを投入し、自らプレーヤーとして参画していく。

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IT部門も変わる。新規事業には事業部門の社員が中心に取り組んでいくが、将来は「新しいIT本部」も企画段階から参画していく。プロジェクトに応じて、社内外にある開発プラットフォームやツール、クラウドサービスをそろえ、必要に応じてサポートしていく。そしてテスト段階から事業化に至るまで柔軟に関与していく。IT知識を持つメンバーのサポートがあれば、事業部門で取り組む開発のスピードも、事業の確度も高まっていくはず。システムではなく、事業部メンバーを相手に働くのが将来のITメンバーたちの姿である。
新しい組織に「改革意識」を吹き込む
この「新しいIT本部」に対して期待されている機能を整理し、技術専門性と業務専門性の2軸で分解・再編成したのが、7つの新しい課である。

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「将来必要となるIT部門の機能を基に新しい組織を編成しました。どの課にも期待する役割・機能があります。ただ、この組織の中で働くリーダーや配属されたメンバーたちが、その役割を理解していなければ、単に組織名を変えたではないか、と思われるかもしれません。組織改革では、働く人たちに改革意識も吹き込むことが欠かせません」(安藤CIO)
新しい組織内に改革の意識を吹き込むため、それぞれの課で「組織憲章」を策定した。課ごとに策定した「組織憲章」は3年後のミッション、主要業務、スキルエリア、評価指標、アウトプットで構成される。
内容は1枚の用紙に書き込める程度の分量。簡単に記述できそうなのだが、実は、今後果たすべき役割を理解し、そこで必要となる知識・技術なども正確に詰めていないと書けない。この組織憲章を定期的に見直すことで、リーダーたちは、自分たちの役割を再確認するのだ。