競争優位を磨き、社会課題解決を通じて成長を実現する「No.1事業群」を掲げて、「中期経営計画2026」のゴールへと走る住友商事。そこに描く成長ストーリーでは、デジタルが重要なドライバーとなる。デジタルとビジネスをかけ合わせ、どのように新たな価値を創出していくのか。DX・ITグループ長でありCDO・CIOを務める巽達志氏が語る。

※本稿は、Japan Innovation Review主催の「第22回 DXフォーラム」における「特別講演:『デジタルで磨き、デジタルで稼ぐ』住友商事のDX/巽達志氏」(2024年9月に配信)をもとに制作しています。

デジタル基盤を活用して強みを強化、成長を加速させる

「No.1事業群」を掲げる住友商事の中期経営計画では、デジタルを「成長を加速させ、経営基盤・業務を変革するとともに、収益拡大と事業創出・変革を実現し、全社の稼ぐ力を強化するもの」と明確に位置付けている(下図)。

 執行役員であり、DX・ITグループ長とCDO・CIOを兼任する巽達志氏は、「デジタルソリューション、AI、データなどのデジタル基盤を活用して、当社の強みをさらに強化し、新たな強みを育てながら、成長を加速させていきます」と語る。

 住友商事は、鉄鋼、自動車、輸送機・建機、都市総合開発、メディア・デジタル、ライフスタイル、資源、化学品・エレクトロニクス・農業、エネルギートランスフォーメーションという9つのグループに、事業戦略単位で44のSBU(Strategic Business Unit:戦略的事業単位)を配置している。

 DX推進では、コーポレートグループに属するDX・ITグループを「DXセンター」と位置付け、各組織とともにパートナーとして、そのデジタル戦略の遂行に取り組むこととしている。実際に、巽氏自身は全てのSBU長と個別に対話して、各SBUのデジタル戦略の実効性を高め、具体的な成果に結びつけるためのサイクルを回しているという。

 また、DXセンターで培ったノウハウや知財をソリューション化して提供する「DXイネーブラー事業」も、グループのIT企業であるSCSK、SCデジタル、Insight Edgeの3社と協力しながらスピーディーに展開する。