画像出典:『マンガでやさしくわかる知識創造』

 AIの普及により、多くの人間の仕事が取って代わられることが懸念され、近年は「ChatGPT」の登場で生成AIが脚光を浴びている。しかし、AIには「新しい知識(ナレッジ)を創り出すこと=知識創造」はできない。これができるのは人間だけだ。生身の身体を持ち、五感を使って経験から意識的に学べるからこそ、人間には知識創造が可能であり、生成AI隆盛の時代だからこそ、知識創造はビジネスパーソンの重要なスキルとなる。本連載では、『マンガでやさしくわかる知識創造』(西原〈廣瀬〉文乃著/藤沢涼生作画/日本能率協会マネジメントセンター)から内容の一部を抜粋・再編集。誰もがすぐに実践できる知識創造の考え方についてマンガを交えながら紹介する。

 第2回は、知識とは何か、そして知識創造に秘められた可能性について考えてみる。

<連載ラインアップ>
第1回 社内の課題を一発解決、若手経理部員がつくった“図書館”の役目とは?
■第2回 なぜ、多くの人が「自分は知識を創っていない」と思い込んでしまうのか?(本稿)
第3回 組織の中で知識を創り、共有することで生まれる3つの効果とは?
第4回 なぜ、あの居酒屋チェーンの「つくね」は、どの店で食べてもおいしいのか?
第5回 「ジャパンアズナンバーワン」 と賞された日本企業の強さの秘密は何だったのか
第6回 なぜ、業務を「見える化」してKPIで測ると、人は違和感を覚えるのか?
第7回 創造と蓄積をどう繰り返す? 知識創造理論の中心「SECIモデル」とは?

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私たちはだれでも知識を創っている

マンガでやさしくわかる知識創造』(日本能率協会マネジメントセンター )

 私たちは日々、だれかが創った知識(ナレッジ)を使い、自分でも知識を創(つく)ったり使ったりしています。

 こうお伝えすると、

「いや、たしかにだれかが創った知識を使ってるとは思うけど、自分では創ってないし!」

 このように思う方がわりといらっしゃいます。

 いえいえ、あなたもちゃんと知識を創っています。しかも、仕事だけではなく、プライベートでも、多分いろいろな知識を創っています。しかも、1人で、ではなく、だれかと一緒に。

 じつは、このように「自分は知識を創っていない」と思ってしまっていることが問題なのです。

 つまり、わりと多くの方が、自分が知識を創っていることに気がついていない。なので、どうすればもっと効果的に、あるいは効率的に知識を創れるのかを知らないのです。

 これがなぜ問題なのかというと、気がついていて、やり方を知っていれば、自分から知識をもっともっと創れるようになり、創った知識をもっともっと活用できるようになるからです。

 本書は、「知識をどのように創るか」「知識を創ることにはどのような効果があるか」についてお伝えし、本書を手に取ってくださったみなさんが、自分から知識を創り、その知識を活用し、実践できるようになることを目指しています。

■知識とは

 ところで、みなさんは「知識」をどのように定義しますか?

 くわしくは第1章の解説で説明しますが、ここでは、たとえば小学3年生に「知識とは何か」を説明することを想定して、考えてみてください。

「だれかが教えてくれたこと」

「学校で勉強すること」

「何かをしたときに覚えたこと」

「何かをするときのやり方」

「何かをするときに役に立つこと」

 こんな感じでしょうか。どの説明も知識の特徴をとらえていると思います。このように定義を考えると、「自分でも知識を創っている」と思えてきませんか?

 くり返しになりますが、私たちは日々、だれかが創った知識を使い、自分でも知識を創ったり使ったりしているのです。

 知識というものの本質や、知識を創る方法や効果を理解すれば、よりいっそう、自分から知識を創り、その知識を活用できるようになります。