東京駅の目の前にある新丸の内ビルディング。三菱地所は一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会の中心メンバーとして、大丸有エリアでのスマートシティ化に取り組んできた

 大手不動産デベロッパーの三菱地所は「三菱地所デジタルビジョン」を策定して、DXによるUX(顧客体験価値)の最大化やエコシステムの構築を目指している。その狙いは「日本のスマートシティの基盤づくり」にある。三菱地所はどのようなスマートシティをつくろうとしているのか。同社のオフィス事業の取り組みからひもといていく。

 東京駅周辺の大丸有エリア(大手町、丸の内、有楽町)などでまちづくりを進めてきた三菱地所。同社はデジタル化の先にある新しい暮らしとまちづくりを目指して、2021年に「三菱地所デジタルビジョン」を策定している。このビジョンでは、「多様なプレイヤーとの協創を促進することで、シームレスなUXを実現し、まちと人の関係を深化させていく」方針で、そのためにあらゆるまちの関係者とオンライン・オフラインでオープンにつながるエコシステム「Mitsubishi Estate Local Open Network」(MELON)の構築を目指している。

 三菱地所は以前より「一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会」の中心メンバーとして、大丸有エリアでのスマートシティ化に取り組んできた。2020年、同協議会は東京都・千代田区と合同で「大丸有スマートシティビジョン」を策定し、「データ利活用型エリアマネジメントモデル」の確立を目指すと宣言したが、これはデジタルと都市を高度に融合させ、都市のリアルタイムデータを収集し活用するスマートシティを目指す取り組みである。三菱地所は大丸有エリアだけを考えるのではなく、「日本のスマートシティの基盤を作る」という高い目標を掲げているため、上記のMELON構想では他地域のスマートシティ都市OSとのつながりも考慮する方針で、エコシステムづくりが日本各地で展開されることが期待される。

 そのための大前提で、エコシステムづくりの1丁目1番地になるのが「利用者とのリアルとデジタルの接点(環境)をどのように構築していくか」。そこで、今回はオフィスワーカーが日常的に働く上での環境整備について取り上げる。

 大丸有スマートシティの構想では、「創造性」「快適性」「効率性」を重視したオフィス環境の整備により街の価値を飛躍的に高める方針である。コロナ禍以降はリモートワークが一般的になったが、リモートワークでは得られない創造性や快適性をもたらすために、オフィス環境でのUXの向上を目指そうというのである。

 三菱地所が保有・運営するビル群でオフィスワーカーに新たなUXをもたらすオフィス事業のDXの取り組みを示したのが下の図だ。