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なぜイノベーションが生まれないのか。大企業において、その要因の1つは自前主義かもしれない。自分たちで作っていたのではもはや手遅れになるほど、変化のスピードが速い時代は、外部のケーパビリティを使うことや、他社との共創が重要な鍵を握る。生命保険業界で揺るぎない地位を維持する日本生命は、「Nippon Life X(ニッポンライフ エックス)」というオープンイノベーション拠点を設置し、グローバル4極体制でイノベーション推進に取り組んでいる。室長を務める練尾諭氏にその取り組みと、オープンイノベーション成功術を聞いた。
ライフスタイルの変化、規制緩和、フィンテックの台頭など、金融機関の経営環境は激変の一途。今やDXによる変革は待ったなしです。金融業界におけるDXキーパーソンへのインタビューにより、DX戦略の全体像から、データ活用、CX、カルチャー変革、デジタル人材育成まで、金融DXの最新の事例を取り上げます。
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「イノベーションを開発する」という組織名に込められた思い
――2018年にイノベーション開発室を設立し、2020年に対外呼称を「Nippon Life X」に変更されましたが、同組織を設立した目的・背景について伺います。
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1999年、日本生命入社。保険システムの開発、大型プロジェクトマネジメントを経験し、直近はIT企画・DX部門にて、FinTechに関する調査・研究・開発や、投資計画、人材戦略等を担当。2021年より現職。
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座右の銘:「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」(プロ野球の野村克也元監督の名言として知られるが、元々は江戸時代の大名、松浦静山の剣術書にある一文。「イノベーションの創出にも通じるところがある」という)。
注目する企業、経営者・ビジネスパーソン:システム部門の出身者として、ハードウェアやソフトウェアの進化に注目しており、IBMやApple、Amazon、Googleといったテック企業の動向は常に追いかけている。
お薦めの本:『イノベーションのジレンマ』(クレイトン・クリステンセン著)、『技術者よ、経営トップを目指せ!』(五十嵐弘司著)、『2020年金融サービス―ITと融合するリテール金融の未来像』(日本IBM金融インダストリーソリューション著)。
練尾諭氏(以下敬称略) FinTech(フィンテック)やInsurTech(インシュアテック)が台頭する中、われわれも2015年ぐらいからFinTechの取り組みを検討し始めました。IT部門の中にシリコンバレー拠点を設けて活動を開始したのですが、やればやるほど、FinTechの本質は「ファイナンスをテクノロジーでどう変えるか」ということだと痛感しました。
インシュアランスにテックをどう使うかではなく、テックを使ってインシュアランスをどう変えるか。つまり、ビジネスをどう変えていくかという論点であることから、IT部門から企画サイドに機能を移し、当時盛んに言われていた「イノベーション」という言葉を用いて、ものをつくるという意味合いから「企画」でも「推進」でもなく、「開発」をくっ付けたのがイノベーション開発室というわけです。
Nippon Life Xという名称に変えたのは、オープンイノベーション拠点として、われわれが自前だけではできないことを、社外の方たちと一緒に共創していくという思いを真剣味を持って伝えることを意図したものです。われわれの伝統と革新を掛け(X)合わせ、未知(X)に挑み続けるという思いも込められています。
――Nippon Life Xの体制と室長である練尾さんの役割・ミッションについて教えてください。
練尾 変化を取り込むことを会社全体に対してリードすることがわれわれの大きな役割であり、保険事業の高度化と新規事業の開発という2つの取り組みを行っています。ややもすると、イノベーションとは新規事業開発であると捉えられがちですが、そうではなくて、既存事業と新規事業の双方において変化を積極的に取り込み、今までにない新しい価値をつくっていくというのが、われわれのミッションです。
組織体制としては、東京、シリコンバレー、ロンドン、シンガポールの4極体制で、30名弱の陣容を抱えています。
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