コンビニ業界の業績好調が続いている。2022年の売上高は11兆1775億円で、コロナ前の2019年を上回り過去最高となった。店舗数は5万5838店。この春はお花見も解禁となり、さらなる伸びが期待できそうだ。
だが、誕生から50年となるコンビニ業界は、人口減少下で飽和状態を指摘されて久しい。人材難、食品ロスなど課題も山積している。そうしたなか、コンビニ各社は省人化、フードロス削減、CO2排出削減などさまざまな課題解決に向けて取り組んでいる。
今回はそうしたコンビニの取り組み事例のひとつとして、アバターを活用した近未来型店舗の運営に乗り出したローソンの店舗の実態に迫ってみた。
18色の「カラフルな看板」の意味
この店舗「ローソン北大塚一丁目店」があるのは東京都豊島区の大塚駅近く。高齢者が多く住む団地の向かい側というロケーションだ。近未来型店舗「グリーンローソン」として、昨年11月28日から営業している。
売り場面積は214m2(約65坪)で24時間営業。取扱商品は冷凍弁当、おにぎり、調理パン、デザート、まちかど厨房、飲料、酒類、日用品など約4200種類に及ぶ。プラスチック削減の取り組みでレジ袋やスプーンなどのカトラリーは撤廃しているため、その代わりに木製スプーンや竹製カトラリー、コットンバッグなどの売り場がある。
筆者が訪れたのは平日の午後。外から見てまず気づくのが看板の違いだ。見慣れたブルーのローソンではなく、子どもが描いたようなパステルカラーのかわいいデザインとなっている。SDGsの17色にローソンブルーを足した18色となっているそうだ。
店内に入ると、入口のドア近くに縦長のモニターがあり、ローソンの制服姿のアバターが出迎えてくれる。レジはセルフレジで、利用法が分からない人は隣のモニター画面のアバターが教えてくれる。
通常の店舗だとレジがあるカウンターの背面にずらりとタバコ製品が並んでいるが、この店ではカンターの下に陳列されていて、客はそこから取り出す仕組みとなっている。セルフレジでタバコを購入する際は、運転免許証を使用したデジタル年齢確認を行う。
店には子ども連れの母親、高齢者、ビジネスマン、若者と世代に関係なくさまざまな層の利用客が入店してくる。オープンから3カ月以上がたち、珍しさがなくなったのか、入り口付近やレジ横に設置されたモニター画面のアバターに驚く様子もない。淡々と普通の店のように利用している。