※本コンテンツは、2021年9月17日に開催されたJBpress主催「第5回 リテールDXフォーラム」の特別講演Ⅲ「ローソンにおけるデジタル化の取組み」の内容を採録したものです。

 約180のシステム領域を所持するローソン。2017年以降、積極的なIT投資を行ってきたが、当初は次世代システム開発と既存システムの保守の両立にリソースが割かれ、デジタル化、DX推進の課題を痛感したという。現在、設立50周年を迎える2025年に向けて策定した「ローソングループ Challenge 2025」をもとに、組織風土をはじめとした改革に取り組んでいるローソン。その挑戦と創出しつつあるイノベーションについて、同社オープン・イノベーションセンター センター長の長澤拓弥氏が話す。

DXの取り組みは技術先行から経営課題解決に

 コロナ禍で社会の価値観が激変した2020年。リモートワークの定着や、まとめ買い、宅配サービスの利用が進み、コンビニ業界も消費者の生活の変化への対応に追われることになった。ローソンでは2020年9月に、ニューノーマルのニーズを先取りする「大変革実行委員会」を立ち上げ、2021年4月には、設立50周年に当たる2025年に向けた「ローソングループ Challenge 2025」を策定、「すべてのお客さまレコメンドNo.1」を目指した取り組みをスタートさせている。

「デジタル、データ活用とチャレンジスピリットを基盤とし、事業方針として3つの約束『圧倒的な美味しさ』『人への優しさ』『地球(マチ)への優しさ』を提供していきます。ローソンが、一番大切な人にお薦めしたい企業となり、『みんなと暮らすマチ』を幸せにしていきたいと考えています」。こう話すのはローソン オープン・イノベーションセンター センター長の長澤氏だ。

 ローソンでは、これまでもテクノロジーを活用してサービスを拡充してきた。1980年代からのパソコン普及を受けて各店舗へのストアコンピューターの導入を始め、90年代後半にはマルチメディア端末「Loppi」を設置、他社サービスとの連携を拡大させた。

 スマートフォンが普及しAI技術が進化した2010年代には、セミオート発注やローソンスマホレジの導入を進めてきた。さらに調理や宅配のロボット、深夜の時間帯の無人営業やレジのない店舗の実証実験にも取り組んでいる。

 2018年ごろまではデジタル技術先行の取り組みが中心だったが、最近は人手不足などの経営課題解決に軸足を置いているのが、ローソンのDXだ。