長澤氏が考える「DX推進の実務上の要点とDX人財の育成」

 ローソンがIT戦略子会社としてローソンデジタルイノベーション(LDI)を設立したのは2016年。DX活動においては、LDI社員もローソン社員の一員として、スマートフォンアプリの開発、デジタルマーケティング、AI領域の事業部支援、システム開発プロセスの標準化や品質管理などを担っている。

「IT組織が担う役割は、企業の成長とともに変化しなければならない」と長澤氏は話す。かつては、事業継続性を担保することが最重要指標とされ、システムの維持改善に多くの時間を割いてきた。だが、現在はいかにデジタル技術でサービス品質を向上させ、事業価値向上と業務変革に貢献できるかが重要になっているという。

「これまでは外部パートナーに任せていた上流工程を自社の強みに変えていかなければならない。社員一人ひとりの意識改革、個人のスキルアップを後押しすることで、IT組織の機能シフトにチャレンジしています」

 まずは社員の意識改革として、業界の外側に目を向ける機会点をつくる。また、定期的にパートナー企業との勉強会を開催する。DXの担当部署だけがトレンドを把握するのではなく、デジタルに関わる全社員が理解を深め、状況認識を合わせることを重要視している。

「2カ月ごとに組織戦略をアップデートし、IT社員、LDI社員合わせて100人以上で確認し合う取り組みを始めました。各組織の透明性が高まり、社員が自律的に動けるようになってきたと感じています」

 DXに強い企業になるためには、自社の環境を熟知している人財が不可欠だ。「中長期的な視野で粘り強く、組織風土の改革や人財育成に取り組むことが、遠回りのようで一番の近道」と語る長澤氏。DX推進における実務上の要点と、DX人財育成のポイント(下図)を挙げて、こう結んだ。

「当たり前の項目が並んでいると思われるかもしれませんが、これをやり続けるのがとても難しいのです。実際に効果を感じるまで、数カ月から数年という長い時間を要します。ローソンもまだまだ道半ば。結果が出るまでやり続ける信念、覚悟を持って、これからも取り組んでいきます」