それによると、最も販売額が大きいアプリのカテゴリーは、小売りやライドシェア、料理・食料品宅配、旅行などの「物理的な商品・サービス」で全体の約8割を占めた。
次に金額が大きかったカテゴリーは、音楽・動画配信や電子書籍、ゲーム、オンライン講座などの「デジタルグッズ・サービス」で全体に占める比率は13%だった。
アップルはこの「デジタルグッズ・サービス」で、アプリ開発者やサービス運営企業から手数料を受け取っており、これがApp Storeの売上高となっている。例えば、有料アプリやアプリ内課金の場合、アップルの取り分は販売額の30%、サブスクサービスは、1年目が同30%で、2年目以降が15%となる。
App Storeを巡っては、配信や課金の仕組みが独占にあたるとして、人気ゲーム「フォートナイト」の開発元である米エピックゲームズが提訴した。こうした批判をかわす狙いかアップルは21年1月に、App Storeで得た年間収益が計100万ドル(1億3200万円)以下の開発者を対象に手数料を15%に引き下げた経緯がある。
アップルは20年に公表したリポートで、「アップルから開発者に直接支払われた金額やアップルが受け取る手数料は、アプリを通じて販売された商品やサービスの売上高などを含んだ膨大な金額から見れば、ほんの一部にすぎない」と説明。App Storeがもたらす経済効果は、同社と開発者間の取引金額よりもはるかに大きいと強調した。
App Storeはアップルの収益エンジン
ただCNBCは、アップルが今回公表したデータは、App Storeの成長が減速したことを示しており、これは投資家にとって重要だと指摘する。なぜならApp Storeはアップルのサービス事業の中核部分であり、同社の収益エンジンだからだという。
22年9月末までの22会計年度におけるサービス事業の売上高は、前年度比14%増の781億ドル(約10兆3300億円)だった。増収率は21会計年度の27%から低下している。
20年と21年は新型コロナの感染拡大による巣ごもり需要の増加でアプリ市場が活況を呈した。現在は需要が一服したほか、金利の上昇や景気後退への懸念で先行き不透明な状況だとCNBCは報じている。米モルガン・スタンレーのアナリストによれば、App Storeの売上高は22年6月から11月まで6カ月連続で減少した。App Storeの成長はサービス開始以来の最低レベルで推移したという。その一方で12月は増加に転じており、23年は改善が期待できるという。