(写真:ロイター/アフロ)

 米アップルがアプリ配信サービス「App Store」の広告枠を拡大する計画だと米CNBCが9月13日に報じた。世界稼働台数が10億台以上と言われる同社スマートフォン「iPhone」の顧客基盤は大きい。アップルはこれを活用し、デジタル広告事業を急成長させるようだ。

新広告枠、トップページとアプリ紹介欄に

 CNBCによるとアップルはApp Store内の広告を大幅に拡大する。これまでApp Store内の広告は「検索」タブ内と検索結果ページに限られていた。だが同社は最近、アプリ開発企業に次のようなメッセージを送ったという。

 「今年末のホリデーシーズンに新たな機会がもたらされます。App Store内全体で貴社のアプリを宣伝し、より多くの顧客を引き付けることができます」

 このメッセージには、新たに提供される広告枠の場所などについての詳細が示されていない。だがアップルは2022年7月、App Storeのトップページにあたる「Today」タブと、各アプリの紹介ページに広告枠を追加すると明らかにしていた。

広告掲出、競合アプリのページにも

 後者の場合、他社アプリのページ内に自社アプリの広告を掲出できることを意味する。アプリ紹介ページの下には「この開発者によるその他のアプリ」というセクションがあるが、広告はその下の「その他のおすすめ」に表示されるという。

 米メディアの9to5Macによると、開発者は掲出先として、特定の競合アプリを指定するはことはできない。しかしここには関連性の高い広告が表示されるため、直接競合する開発者のページに自社広告を出せる可能性もある。

 アップルの担当者はCNBCとのインタビューで、「あらゆる規模の開発者がビジネスを成長させる機会を提供する」と述べた。「新しい広告枠は、当社の他の広告サービスと同じ基盤の上に構築される。コンテンツはApp Storeが承認したもののみが表示され、厳格なプライバシー基準を順守する」(アップルの担当者)

22年のデジタル広告収入、50億ドルに

 アップルはデジタル広告事業の売上高を開示していない。だが、広告を含む、アプリや音楽、動画配信などの「サービス事業」の売上高は22年4~6月期に196億400万ドル(約2兆8200億円)となり、前年同期から12.1%増加した。伸び率は同社全事業部門の中で最も高い(独スタティスタのインフォグラフィックス)。

 米バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ワムジー・モハン氏は、アップルが22年に検索広告事業だけで、50億ドル(約7200億円)の収入を生み出すと予測している。

 米金融調査大手エバコアISIも同様の見解を持つようだ。エバコアISIによると、2010年代後半、アップルの広告事業の売上高はわずか数億ドルだった。これが22年は47億ドル(約6800億円)になり、26年には304億ドル(約4兆3700億円)にまで拡大すると予測している。

 こうした中、アップルがデジタル広告部門の人員を増やす計画だと報じられている。英フィナンシャル・タイムズによると、アップルはプロダクトデザイナーやマネジャー、データエンジニア、セールススペシャリストなど、計216人を新規採用する方針。現在、アップルのデジタル広告部門の人員規模は約250人。これをほぼ倍増させる計画だという。

 (参考・関連記事)「アップルのデジタル広告事業が急成長 | JDIR