App Store アイコン(写真:アップルHPより)

 米アップルのデジタル広告事業が急成長していると、米CNBCが9月6日に報じた

App Store広告急成長

  英国のモバイル広告調査会社アップシューマー(Appsumer)は、北米・欧州の消費者向けアプリ企業約100社のオンライン広告費を調査した。それによると、アップルのアプリ配信「App Store」の広告サービスを利用した企業の比率は2022年4~6月期に94.8%に達した。前年同期から約4ポイント上昇している。

 米グーグルの広告サービスを利用した企業の比率は前年同期比2ポイント低下し94.8%と、アップルと同比率になった。一方、米メタは同3ポイント低下し、82.8%となった。

 ネット広告市場ではグーグルとメタが先行しており、2社の寡占状態(デュオポリー)が続いている。だがこれが崩壊しつつあるかもしれないと、CNBCは報じている。

 アップシューマーは、アップルの広告事業が急成長している要因として、ダウンロード件数を増やすために大金を支払うことをいとわないアプリ開発企業が増加していることを挙げている。

 また、アップルは21年4月にプライバシー保護を目的とした新ルール「アプリのトラッキング透明性(ATT)」を導入した。これにより、iPhone向けアプリ内の利用者絞り込み精度が低下し、フェイスブックなどのアプリへの広告掲出が減少した。

 アップシューマーによると、アプリ開発企業向けオンライン広告市場におけるアップルの台頭は、電子商取引(EC)内広告の市場における米アマゾン・ドット・コムの台頭と同様の現象だという。

アップル、広告人員2倍に

 こうした中、アップルはデジタル広告部門の人員を急増させる計画だ。英フィナンシャル・タイムズによると、現在、アップルのデジタル広告部門には約250人の社員がいるが、同社は216人を新規採用する計画だ。20年時点の採用数56人のほぼ4倍を新たに募集するという。

 職種はプロダクトデザイナーやマネジャー、データエンジニアやセールススペシャリストなど。採用地は主に米国だが、欧州でも約27人募集するほか、中国で12人、インドで12人、日本で4人、シンガポールで2人採用する。

アップル広告事業、4年後に300億ドル規模

 米金融調査大手エバコアISIによると、2010年代後半、アップルの広告事業の売上高はわずか数億ドル程度だった。これが22年は47億ドル(約6800億円)になるとみられている。さらに、26年には304億ドル(約4兆3800億円)にまで増大するとエバコアISIは推計する。

 グーグルとメタの21年における広告売上高はそれぞれ2090億ドル(約30兆1200億円)と1150億ドル(約16兆5700億円)だった。これらと比べればアップルの広告事業はまだ規模が小さい。

 だが、アップルは過去2年で、App Storeの広告事業を2度拡大しており、今後も拡大する計画を立てている。世界稼働台数が10億台以上と言われるiPhoneの顧客基盤は大きく、グーグルとメタのデュオポリーに変化が生じる可能性は十分にあると指摘されている。

 (参考・関連記事)「フェイスブック成長鈍化の理由はアップルの広告規制 | JDIR