オランダの消費者・市場庁(ACM)が米アップルに対し10回目の罰金を科したと、ロイター通信が3月28日に報じた。
罰金総額68億円に
出会い系アプリ運営会社の苦情を受けアップルを調査していたACMは2021年12月、アップルがスマホ「iPhone」などのモバイル端末のアプリストアで、開発者に対し外部決済を使えないようにしているのは競争法に違反すると結論付けた。ACMはオランダ国内で配信する出会い系アプリに対し、外部決済手段の導入を認めるようアップルに命じた。
アップルは「利用者の利便性とセキュリティーが損なわれる」と反論し、当局の決定を不服として控訴している。一方で、同社は地域限定で外部決済を容認する意向を表明。妥協案として、出会い系アプリの開発者に対しオランダでしか使えないアプリを新たに用意するよう求めた。また、その場合でもアプリ配信手数料として決済額の27%を請求するとした。
こうした対応をACMは認めておらず、アップルに対し22年1月から毎週500万ユーロ(約6億8000万円)の罰金を科している。ACMがこれまでにアップル科した罰金は計5000万ユーロ(約68億円)に上る。
ACMによるとアップルは22年3月27日に、オランダ当局の業務改善命令を順守するための新たな提案書を提出した。だが、10回目の罰金を回避するには遅すぎたという。ACMは翌日に声明を出し、「アップルの新しい提案は内容が十分に具体的であるため、できるだけ早く精査できるだろう」と述べた。今後、出会い系アプリ運営会社と協議し、アップルの提案内容について検討する。ただ、その結果によっては、さらに罰金を科し金額がより高額になる可能性もあるとしている。
EUのデジタル市場法、巨大IT規制を強化
ロイターによると、ACMによるアップルのアプリストアを巡る調査は19年に始まった。ACMはその後、主に出会い系アプリ市場に焦点を当て、調査の範囲を絞った。つまり、オランダにおけるアップルの事業への影響は限定的なものになる。