グーグルの持ち株会社である米アルファベットの22年7~9月期売上高は前年同期比6%増の690億9200万ドル、純利益が同27%減の139億1000万ドルだった。増収率は過去9四半期で最低。5四半期連続の低成長となり、3四半期連続の減益だった。

 検索連動型広告の売上高は同4.3%増えた。だが、米金融調査大手エバコアISIのアナリストによると、これまで一貫して好調に推移してきた検索連動型広告の4.3%という伸び率は芳しくない結果。中小企業の広告費支出への慎重さと弱さを示している。動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」の広告売上高は、19年10~12月期に情報開示して以降初めて減少した。

 SNS(交流サイト)「Facebook」を運営するメタの22年7~9月期の売上高は277億1400万ドルで、前年同期から4%減少。売上高は4~6月期に同1%減と、上場以来初の減収を報告していたが、7~9月期は減収幅が拡大した。売上高全体の約98%を占めるネット広告収入は272億3700万ドルで同4%減少した。

 景気減速による広告出稿の減少やTikTokとの競争激化に加え、アップルのプライバシー保護を目的とした広告規制強化により広告単価が低下した。

アマゾン380億ドル、アップル70億ドル

 「テック大手は3000億ドル(約39兆7600億円)規模のデジタル広告市場を巡ってかつてないほどの激しい競争を繰り広げている」と、フィナンシャル・タイムズは報じている。アマゾンとアップルは近年、それぞれのネット広告部門を拡大している。動画配信大手の米ネットフリックスは米マイクロソフトと提携し、広告付き低価格サービスを開始した。

  一方、米アマゾンは15年にネット広告事業への取り組みを強化した。同社の広告売上高はそれ以前10億ドル(約1300億円)未満にとどまっていたが、22年は380億ドル(約5兆400億円)にまで拡大した。

 アップルもメタやグーグルにとっての新たな脅威として浮上してきた。アップルの広告収入は18年に22億ドル(約2900億円)未満だったが、22年は70億ドル(約9300億円)以上に増えた。これは世界市場のわずか数パーセントにすぎないが、写真・動画共有アプリ運営米スナップと画像検索・共有サービス運営米ピンタレストの合計金額を超えている。アップルのネット広告収入は26年までに300億ドル(約3兆9800億円)に達するとみられている。

 インサイダー・インテリジェンスによれば、23年の米ネット広告市場におけるメタとグーグルの広告売上高伸び率は、それぞれ5%と3%になる見通し。

 一方で競合他社のうち少なくとも8社は2桁の成長を遂げるという。アマゾンの広告売上高は前年比19%、アップルは同26%、音楽配信のスポティファイ・テクノロジー(スウェーデン)は同30%、TikTokは同36%、米小売り大手ウォルマートは同42%、それぞれ増加するとインサイダー・インテリジェンスはみている。ただし、これら企業の多くは、依然として市場シェアが低い。