米グーグルは年内の採用数を縮小する方針を明らかにしたほか、スタートアップ事業を構築するインキュベーター制度「エリア120」の規模を縮小した。スンダー・ピチャイCEOはテクノロジーカンファレンスに登壇し、「会社の生産性を20%向上させる方法を見つけ出す」と述べた。グーグルは19年から提供してきたビデオゲームのストリーミング配信サービス「Stadia」から撤退する。
アマゾン、パンデミック時と対照的な緊縮モード
ここ最近のアマゾンの動きは、事業を急拡大させていた、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)の時と対照的だとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。19年末から21年末までアマゾンは物流拠点を中心に約80万人を新規採用した。
22年3月には米映画製作大手メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)の買収を完了した。22年7月には、診療サービスを手がける米ワン・メディカルを買収すると発表。22年8月には、家庭用ロボット掃除機「Roomba(ルンバ)」を手がける米アイロボットを買収することで最終合意した。22年9月には、物流施設内のロボットシステムなどを開発するベルギーのクロースターマンズの買収も明かした。これらの合計買収金額は140億ドル(約1兆9500億円)を超える。
こうした中、アマゾンのジャシーCEOは、経費を削減し利益を追求することに注力している。22年8月には、医療サービス「Amazon Care(アマゾン・ケア)」を年内で終了すると発表。21年に発売したばかりの子供向けビデオ通話端末「Glow(グロウ)」の生産を打ち切ったほか、自律走行宅配ロボット「Scout(スカウト)」の試験運用を停止した。22年3月には、米国と英国で対面式書店「Amazon Books(アマゾン・ブックス)」を含む、計68店舗を閉鎖すると報じられた。加えて、アマゾンが少なくとも1000万平方フィート(約92万9000平方メートル、東京ドーム約20個分)の倉庫スペースをサブリース業者を通じて賃貸しするとも報じられた。
アマゾンの22年、9月末まで赤字30億ドル
アマゾンの22年1~3月期の純損益は38億4400万ドル(約5400億円)の赤字だった。続く22年4~6月期も20億2800万ドル(約2800億円)の赤字。7~9月期は純利益が28億7200万ドル(約4000億円)となり、3四半期ぶりに黒字化した。だが、22年に入ってから9月末までの赤字額は30億ドル(約4200億円)に上る。
これに対し、21年は330億ドル(約4兆6000億円)の黒字、20年は210億ドル(約2兆9300億円)の黒字だった。