また、従業員宛のフォローアップメッセージで、メタの人事責任者であるロリ・ゴラー氏は、「メタはコストを最小限に抑えようとしている。会社の23年の予算は非常に厳しいものになり、すべてのチームに影響が及ぶ」と述べた。

 米アップルが21年4月に導入した、プライバシー保護を目的とする広告規制強化により、iPhone利用者の絞り込み精度が低下し、Facebookなどのアプリへの広告掲出が減少した。メタのデビッド・ウェイナーCFO(最高財務責任者)は22年5月、「アップルの方針変更によって今年は100億ドル超(約1兆4900億円)の売上げが失われる」と説明していた。これは同社の21年における売上高の約8%に相当する。

 それ以降、メタは人員再配置計画を進めてきた。中国発の動画アプリ「TikTok(ティックトック)」との利用者獲得競争が激化しており、これも事業環境に暗い影を落としている。

メタバースへの投資、縮小を提言

 アルティメーター・キャピタルのガースナー氏は今回、メタバースへの投資を縮小するよう提言した。ザッカーバーグCEOはメタバースに年間100億ドル以上の投資が必要だとしているが、ガースナー氏は「シリコンバレーの基準から見ても、非常に規模が大きく、恐ろしい」とし、投資額を年間50億ドル(約7400億円)に抑えるよう促した。

 同社が社名をフェイスブックからメタに変更したのは21年10月28日。「次のコンピューター基盤を構築する」(ザッカーバーグCEO)との目標を掲げ、これまで多額の資金を投じ、世界中で多くのエンジニアを雇用してきた。だがメタバース事業の中心であるリアリティー・ラボ部門は赤字続きで、先行投資がかさみ続いている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは先ごろ、メタの社内文書を基に同社がメタバース事業で苦戦していると報じた

 それによると、メタは消費者向けメタバースの主力製品である「Horizon Worlds(ホライズン・ワールド)」について当初、月間利用者数を22年末までに50万人にする目標を掲げていた。

 だが最近、これを28万人へと下方修正した。月間利用者数はいまだ20万人に満たない状況だという。ホライズンを訪れた人の大半が最初の1カ月過ぎでアプリを使うのをやめ、利用者数は22年春以降減少し続けている。

 ガースナー氏は「そもそもメタバースが何を意味するかについて、人々に混乱が生じている」と書簡で述べた。