(写真:ロイター/アフロ)

 SNS「Facebook(フェイスブック)」を運営する米メタが、コスト削減策の一環としてリストラを進めている。米ウォール・ストリート・ジャーナル米ジ・インフォメーションなどが報じた。

 関係者によると、メタは人員削減などを通じて経費を少なくとも10%削減する計画。事業成長の停滞と競争激化に直面しており、対策を講じるという。

部門再編で人員削減、30日間猶予も

 同社は部門の再編を通じ、水面下で相当数の人員削減に着手し始めた。対象となる従業員には、社内の他の職務に応募できる機会を与えている。人員削減を進めながらも、大量のレイオフ(一時解雇)が発生しないようにしているという。

 これは、一定期間解雇を猶予してセカンドチャンスを与えるという制度で、他の多くの米企業も導入している。メタでは以前から一部の従業員の間で「30日リスト」と呼ばれていた。部門が閉鎖・再編された従業員は、新たな職務に応募できるものの、もし1カ月以内に職に就けない場合は解雇される。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、メタでは歴史的に、新たな職務に就けない人は、望ましくないと見なされた従業員だけだった。しかし今は、評判が良く、人事評価が高い従業員も定期的に解雇されていると、今回リストラ対象となった従業員らは話している。

 同社は21年7~9月期以降、営業経費の削減を目指してきた。だが、採用抑制に伴う自然減ではなく、レイオフという直接的な人員整理を示したことはなかったという。

メタの時価総額、ピーク時から98兆円減少

 一方、メタの広報担当者はウォール・ストリート・ジャーナルの取材に答えて、「我々は優先事項に経営資源を再配分する必要がある」というマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)の2022年7月の声明に言及した。メタはリストラ対象になった従業員数を明らかにしていない。

 メタの22年4~6月期決算は、売上高が前年同期比1%減の288億2200万ドル(約4兆1300億円)、純利益が同36%減の66億8700万ドル(約9600億円)だった。売上高全体の約98%を占めるネット広告事業が振るわず、12年の上場以来初の減収となった。

 メタの株価は22年に入ってこれまでに56.6%超下落しており、同社の時価総額は21年9月のピーク時から6850億ドル(約98兆1700億円)以上減少している(独スタティスタのインフォグラフィックス)。

幹部の発言に変化、評価低い従業員を特定

 新型コロナウイルス禍の需要増で雇用を急拡大してきた同社だが、ここのところ幹部の発言にも変化が表れているようだ。

 ジ・インフォメーションによると、ザッカーバーグCEOは22年6月に開催した全社会議で「現実的に、ここにいるべきではない人が会社にはたくさんいるようだ」と述べた。また、メタの技術部門トップがマネジャーらに対し、惰性で働いている部下や仕事能力の低い部下を特定するように指示した。そのうえで解雇を念頭に、それらの部下を改善計画に基づく観察下に置くよう命じた。

 景気後退への懸念やネット広告市場の混乱を背景に同様のコスト削減策が他社にも広がっている。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米グーグルは22年9月中旬、スタートアップを構築するインキュベーター制度「エリア120」の約半数の従業員に対し、90日以内に社内で別の職務を探すよう伝えた。

  同社のスンダー・ピチャイCEOは22年7月、従業員宛て電子メールで年内の採用数を縮小する方針を明らかにした。米CNBCによると、同氏は22年9月初旬に開催されたテクノロジーカンファレンスに登壇し、「会社の生産性を 20%向上させる方法を見つけ出す」と述べた。

 メタの22年6月末時点の従業員数は8万3553人。1年前から32%増加した。グーグルの持ち株会社である米アルファベットの22年6月末時点の従業員数は17万4014人で、同20.8%増加した。

 (参考・関連記事)「MSも人員削減へ、メタは解雇念頭に低評価の社員特定 | JDIR