店舗型モビリティで社会課題の解決にも取り組む
Mellowのメインの事業が空きスペースとキッチンカーをマッチングするプラットフォームであることは前述したが、これを含め、Mellowが行う現在の事業は大きく4つ。
1つ目が、「店舗型モビリティビジネスプラットフォーム」。これは「SHOP STOP」というブランドで展開している。BUS STOPがバスの停留所であればSHOP STOPは店の停留所ということで、そこには毎日さまざまな店がやって来る。例えば、毎朝焼き立てのパン、産地直送の鮮魚や野菜、休日になると書籍、雑貨、古着やネイル、マッサージのお店など。
つまり、「店に行く」のではなく「店がやってくる」というサービスだ(利用者が「SHOP STOP」のアプリを取得するとキッチンカーをはじめ、近くで出店している店舗型モビリティが探せ、価格などサービスの内容が分かるようになる)
2つ目が、「キッチンカー開業経営支援」。同社が豊富に持つキッチンカーと出店場所のマッチングのデータを活用して、開業支援や経営支援を行っている。同社ではキッチンカー事業者の夢と現実を数多く見てきており、それをこの事業に生かしている。
そこで、Mellowが用意したのが「フードトラックONE」という開業パッケージ。同社が持つ年間約5万回以上のキッチンカー営業データを分析し、「メニュー選定」「車両選び」「営業場所の確保」を支援している(ある場所では売れるメニューであっても、どの場所でもそうとは限らない。キッチンカー経営で大事なポイントは「営業場所とメニューの相性」であるという)
3つ目が、「店舗型モビリティ事業開発支援」。これは「顧客を待つ」から「顧客のところへ行く」という考え方で、あらゆるサービスを店舗型モビリティにする支援を行うということ。同社にはキッチンカーに限らず、小売店をはじめ、マッサージ店、保険相談契約店などさまざまな業種の店舗型モビリティ化の実績があり、そのノウハウでそれぞれの事業に合ったビジネスモデルづくりからオペレーション構築までサポートしている。
そして、4つ目が「地方創生の取り組み」。これは、地方で進む人口減少に伴って公共施設などの維持管理費が不足したり、人口密度が下がっていくことで医療・商業など生活サービスのインフラが存続できなくなるといった、社会課題を解決する取り組みだ。
具体的には、施設を使わず、店舗モビリティへの切り替えを支援する。既に事例があり、その1つが、山口県のアンテナショップをキッチンカーにしてオフィス街や住宅街で展開したもの。また、2020年6月に大阪府豊中市と包括連携協定を結んでから、市内の公園や団地などにキッチンカーを定期的に出店したり、市内事業者のキッチンカー開業支援を行うなど、市内の産業支援につなげる取り組みを行っている。
Mellowのパーパス(存在目的)は「それぞれの豊かさを、それぞれの想いで。」
その意図することは、社会の多様性が進んでいく中で、それぞれの豊かさを求める原動力、つまり「想い」を満たし続けることができる社会を目指しているということ。豊かさを求める原動力、つまり「想い」の最大化である。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにする」という概念だ。Mellowの取り組みは「モビリティ」で、社会の中のさまざまな「想い」を満たし、人々の生活を豊かにしていく取り組みなのだ。