これについては、デジタルマネーの分野で、最近特に注目を集めています。例えば、新しいデジタル資産として注目を集めているNFT(Non-Fungible Token)やST(Security Token)でも、プログラマブルなデジタルマネーを使って取引を行うことで、取引を飛躍的に効率化し、リスクを削減できる可能性が注目されています。海外のデジタル通貨プロジェクトでも、このようなユースケースに照らしたさまざまな取り組みが行われています。

デジタル通貨フォーラムの取り組み

 2020年6月に民間企業や銀行などをメンバーとして発足した「デジタル通貨勉強会」は、望ましいデジタルマネーのあり方について検討を重ねてきました。そのうえで、高い相互運用性やイノベーションの促進、多様なニーズに応える「プログラマビリティ」など、広範なニーズを満たすデジタルマネーの姿として導き出したのが、「円建ての、民間により発行される、『共通領域』と『付加領域』という二層構造を持つデジタル通貨」です。すなわち「〇円」といった情報を、デジタル通貨が共通して持つ領域に書き込むことで互いに交換可能にするとともに、さまざまなニーズに応じたプログラムを「付加領域」に書き込めるようにするものです。

 この検討成果を昨年の11月に報告書として公表した後、デジタル通貨勉強会は多数の新メンバーを加え、「デジタル通貨フォーラム」へと発展的に改組しました。フォーラムには現在、70を超える企業や金融機関、自治体などが参加しており、座長は、デジタル通貨勉強会に引き続き、筆者が務めています。

 デジタル通貨フォーラムでは、上述のような「二層型デジタル通貨」(仮称「DCJPY」)が、経済社会が直面するさまざまな課題の克服に貢献できるよう、さまざまな「ユースケース」を想定し、検討を行っています。今後、概念実証(PoC)など、実用化に向けた取り組みを進めていく予定です。

課題の克服に向けて

 デジタル決済手段については、日本でも既に多くのものが登場しています。デジタル通貨フォーラムの取り組みは、単に新しいデジタル決済手段をもう一つ作ることではありません。デジタル通貨を通じて、経済やビジネスが抱えているさまざまな課題を克服し、実務の見直しも含め、デジタル化社会に即したエコシステムの構築を目指しています。

 現在、世界は、デジタル資産など新たな市場の振興や脱炭素化、地域活性化など、さまざまな課題に直面しています。こうした中、デジタル通貨フォーラムは先月(11月)、これまでの取り組みの概要を示した「進捗報告書」(プログレスレポート)と、デジタル通貨の概要を示した「ホワイトペーパー」を公表しました。以下、取り組みの一部を簡単にご紹介したいと思います。

デジタル通貨フォーラム プログレスレポート
https://about.decurret.com/ .assets/ forum _20211124pr.pdf
“DCJPY”(仮称)ホワイトペーパー
https://about.decurret.com/ .assets/ forum _20211124wp.pdf