10月に行われたIMF・世界銀行総会やG7では、「ステーブルコイン」への対応が大きなテーマとなった。この背景について、元日銀局長の山岡浩巳氏が解説する。連載「ポストコロナのIT・未来予想図」の第57回。

 毎年、9月下旬から10月中旬までの中の1週間を使って、IMF・世界銀行(世銀)総会が開催されます。総会に出席するため、大臣や中央銀行総裁が1か所に集まりますので、この機を利用する形でG20やG7などの会議も数多く開催されます。日本では省庁の人事異動の関係などから、春から初夏にかけて報告書が数多く出されますが、国際機関では秋の国際会議シーズンをめがけて多くの報告書が出される傾向があります。

 今回のIMF・世銀総会やG7などの主要議題として、脱炭素化やデジタル課税などとともに、ステーブルコインも挙げられました。また、これらの会合に先立って、国際決済銀行(BIS)の決済・市場インフラ委員会(CPMI)や金融安定理事会(FSB)、IMFのグローバル金融安定報告書(GFSR)などが揃って、ステーブルコインの問題を取り上げた報告書を公表しています。