サプライチェーン停滞背景に輸送資源拡充

 新型コロナによる巣ごもり需要の増大やサプライチェーン(供給網)の停滞を背景にアマゾンの物流事業への投資はさらに拡大した。21年8月には15億ドル(約1700億円)を投じて建設していた航空貨物施設「Amazon Air Hub」がケンタッキー州に完成し業務を開始した。現在アマゾンの貨物機「Amazon Air」は約75機ある。これを22年8月ごろまでに80機超にし、22年末までには85機超に増やす計画だ。

 21年10月には、年末の繁忙期に向けて物流態勢を強化したと明らかにした。航空貨物機や貨物船、トレーラー、配送バンなどの輸送資源を総動員したり物流施設の人員を拡充したりした。また、自社物流ネットワーク内で入港地を5割増やしたり、海上輸送業者から物流倉庫を追加確保したりしてコンテナ処理能力を2倍にした。

 同社グローバル・デリバリー・サービス部門上級副社長のジョン・フェルト氏は「顧客ニーズとサプライチェーンおよび輸送のバランスを保つため、数カ月かけてこの問題に取り組んできた。毎年サプライチェーンと物流網に投資をしているが、今年は規模を拡大した」と説明した。

米国の物流拠点網、過去2年でほぼ2倍

 米ウォール・ストリート・ジャーナルは11月29日付の記事で、アマゾンが過去2年間に発送センターや仕分センター、宅配ステーションなどの物流拠点網をほぼ2倍に拡大したと報じた。

 カナダのサプライチェーン・物流コンサルティング会社、MWPVLインターナショナルによるとアマゾンは2年間で全米450カ所以上にこれら施設を新設。注文から1日以内の配達を目指す物流網を拡充した。21年9月時点の米国物流拠点数は938に上るという。同社は19年末以降、約67万人を新規採用しており、21年9月末時点の世界従業員数(期間従業員を除く)は146万8000人となった。

 (参考・関連記事)「物流停滞で異例の年末商戦、アマゾン緊急対策 | JDIR