アマゾンのフルフィルメントセンター(写真:ロイター/アフロ)

 アマゾン・ドット・コムの物流事業の規模が2021年末、あるいは22年初頭にも競合の米UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)や米フェデックス(FedEx)を抜きそうだと、米CNBCが11月29日に報じた

アマゾン幹部「年内にも米最大の宅配業者になる」

 アマゾンのワールドワイド・コンシューマー事業、デーブ・クラークCEO(最高経営責任者)がCNBCとのインタビューで語った。同氏は「我々は年内に世界最大規模の輸送業者になるだろう。恐らく年内あるいは22年始めにも米国最大の宅配業者になる」と述べたという。

 アマゾンは、「ラストマイル」と呼ばれる、物流最終拠点から顧客宅までの配送業務の多くを自社便で賄っている。きっかけは、13年の年末商戦だった。アマゾンの荷物量が物流大手の処理能力を超え、商品が年末までに届かず大混乱に陥った。それ以降自社物流網の構築に取り組んできた。

 19年には自社配送による荷物の個数が35億個に達し、同社の全世界電子商取引(EC)受注量のほぼ半分を占めた。米バンク・オブ・アメリカの推計によると、この時点でアマゾンは自社EC商品の58%を自社便で配送していた。配送追跡ソフト開発会社の米シップマトリックスによると、この比率は21年7月に66%に達した。また、EC専門誌のデジタルコマース360はアマゾンが20年に米国第4位の宅配業者になったと報じた。

 アマゾンは、物流業務の大手への依存を減らす取り組みの一環として、18年に宅配事業の起業支援プログラム「デリバリー・サービス・パートナー」を始めた。リース車両や制服、ガソリン、保険などの業務に必要なものを安価に提供し、アマゾンのEC商品を専門に配送する業者を増やしている。今では米国で同プログラムの配送用バンが数万台稼働しているとされる。