米ボルチモアのアマゾン フルフィルメントセンター(写真:ロイター/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムは10月18日、年末商戦に向けて米国で15万人の季節労働者を雇用すると明らかにした。ニューヨーク州やテキサス州、バージニア州などの20州に集中して雇用を拡大する。カリフォルニア州で2万3000人、アリゾナ州で6200人、イリノイ州では4500人を雇うという。

平均時給2000円、一時金34万円も

 初任時の平均時給は18ドル(約2050円)。契約時に一時金3000ドル(約34万2000円)を支払うほか、勤務時間帯によって時給を3ドル加算する。米労働市場が逼迫(ひっぱく)する中、待遇改善で人員確保を図り、需要が急増する年末商戦の物流体制を整える構えだ。

 同社は2021年9月、米国の物流拠点で新たに12万5000人の従業員を採用すると明らかにしていた。21年に入ってからは、発送センターや仕分センター、宅配ステーション、地域の空港ハブなど、米国内で350以上の施設を開設した。新規採用する人員はこれらの施設や退職者の補充に向ける。このとき示していた時給は平均18.32ドル(約2090円)で、最大22.5ドル(約2570円)だった。

 同社は21年4月に米国の従業員50万人以上の時給を最大で3ドル引き上げると明らかにしたばかり。翌5月には米国とカナダの物流施設で7万5000人を新規雇用すると発表した。このときの入社時一時金は最大1000ドルだったが、年末商戦が迫る中、その額を3倍に引き上げた。

年末商戦前に労働者争奪

 待遇改善の背景には米労働市場の逼迫があると言われている。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米国の労働力人口は新型コロナのパンデミック前に比べて430万人少ない状況。この期間、多くの人が休校や休園のために自宅で過ごす子どもの面倒を見るとして仕事を休んだ。また、これを機に仕事や、家族との時間、健康、人生などを見つめ直すとの理由で仕事から離れた人も多かった。

 とりわけ小売りや製造、運輸、貿易、企業向けサービスといった分野での離職率が記録的な水準に達した。米国の労働力人口はいまだ20年2月前の水準に戻っていないという。一方で今は、経済活動の再開を背景に多くの産業が労働力を必要としている状況だ。

 ウォール・ストリート・ジャーナルの別の記事によると、21年6月の米国求人件数は、前月から約60万件増の約1010万人となり、統計を取り始めた2000年以降で最高を更新。失業者数950万人を上回った。こうした中、年末商戦が迫っており、小売り・飲食、アミューズメント・レジャー産業などで労働者を奪い合っている。

アマゾン従業員数、数年でウォルマート抜く?

 同紙によると、アマゾンの競合である米ディスカウントストア大手のターゲットは10万人の季節労働者と約3万人の倉庫従業員を募集している。アマゾン最大のライバルである米小売り最大手ウォルマートは米国で約160万人の従業員を抱えるが、年末商戦に向け15万人を追加雇用したい考え。

 アマゾンの世界従業員数は21年6月末時点で133万5000人(季節労働者、期間従業員を除く)。同社は依然として物流網の拡大を進めている。採用がこれまでのペースで推移すれば、世界従業員数はあと数年でウォルマートを上回ると予測されている。

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