(写真:AP/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムは9月14日、米国の物流拠点で新たに12万5000人の従業員を採用すると明らかにした。対象職種の時給を引き上げ、一部地域では契約時に一時金3000ドル(約33万円)を支払う。労働市場の競争が激化する中、年末商戦に向けて人員を確保し、物流体制を整える狙いだ。

物流施設で時給2000円

 同社は2021年に入ってからこれまでに、発送センターや仕分センター、宅配ステーション、地域の空港ハブなど、米国内で250以上の施設を開設した。今後は21年9月だけでもさらに100以上の施設をオープンする計画。新規採用する人員は、これらの施設や退職者の補充に向ける。時給は平均18.32ドル(約2000円)で、最大22.5ドル(約2460円)になるという。

 アマゾンは21年4月に米国の従業員50万人以上の時給を最大で3ドル(約330円)引き上げると明らかにしたばかり。翌5月には米国とカナダの物流施設で7万5000人を新規雇用すると発表。この時の入社時一時金は最大1000ドル(約11万円)としていたが、今回はその3倍を用意する。

 こうした待遇改善は米労働市場の逼迫が背景にある。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、21年6月の米国求人件数は、前月から約60万件増の約1010万人となり、統計を取り始めた2000年以降で最高を更新。失業者数950万人を上回った。

 アマゾンの世界の正社員数は21年6月末時点で133万5000人(期間従業員を除く)。米国ではウォルマートに次ぐ第2位の雇用主となった。アマゾンは翌日・当日配送の拡大に伴い物流施設の新規開設を着々と進めている。アマゾンの新規採用がこのペースで推移すれば、世界従業員数はあと数年でウォルマートを上回る可能性があるとウォール・ストリート・ジャーナルは別の記事で伝えている。

20年に世界で50万人採用

 同社は20年に世界で50万人を新規採用した。同年3~4月に計17万5000人の期間従業員を採用。同5月末にはその約7割に当たる12万5000人を正社員に登用すると明らかにした。同年9~10月には、北米の物流拠点で10万人の正社員と、10万人の期間従業員を追加採用することも明らかにした。前述したとおり、21年5月には北米の物流施設で7万5000人を新規採用すると発表。新型コロナ禍で電子商取引(EC)需要が増大を続ける中、人員を迅速に拡充し物流網を強化する構えだ。

オフィス職も積極採用

 同社はオフィス職の採用も積極的に進めている。毎年9月に米国で大規模な就職説明会を開催しているが、21年9月は北米のほか、欧州や日本などのアジアでオンラインの採用フェアを開催するロイターによると、21年は技術者など計5万5000人を新規雇用する予定。米国で4万人を採用するほか、インドやドイツ、日本などでも採用するという。

 20年はこの採用フェアを通して、本社などでエンジニアやマーケティング、人事、経理などの人材を募集した。その募集枠は3万3000人だったが、同社はその後38万4000件の応募があったと発表した。

「地球上で最高の雇用主」、福利厚生も拡充

 創業者のジェフ・ベゾス会長は21年4月、CEO(最高経営責任者)として最後の年次書簡を公開し、「地球上で最も顧客第一主義の企業」という従来の目標に加え、「地球上で最高の雇用主」と「地球上で最も安全な職場」を目指すと表明した。

 こうした中、同社は人員確保と保持も狙い、福利厚生の拡充を図っている。21年9月9日には、米国従業員の教育・技能訓練支援に25年までに12億ドル(約1300億円)を投じると明らかにした。自社の「キャリアチョイス(職業選択)」プログラムを通じ、約75万人の時間給労働者を対象に大学授業料などの教育費を全額支払うとしている。

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