24時間稼働になったロサンゼルス港(写真:AP/アフロ)

 サプライチェーン(供給網)の世界的な混乱が広がる中、米アマゾン・ドット・コムは10月25日、年末の繁忙期に向けて物流態勢を強化したと明らかにした

輸送資源を総動員、物流施設で人員拡充

 航空貨物機や貨物船、トレーラー、配送バンなどの輸送資源を総動員したり物流施設の人員を拡充したりして、11月の感謝祭から12月のクリスマスにかけてのホリデーシーズンに荷物を確実に顧客に届けるとしている。自社物流ネットワーク内で入港地を5割増やしたり、海上輸送業者から物流倉庫を追加確保したりしてコンテナ処理能力を2倍にした。

 「顧客ニーズとサプライチェーンおよび輸送のバランスを保つため、数カ月かけてこの問題に取り組んできた。毎年サプライチェーンと物流網に投資をしているが、今年は規模を拡大した」と同社グローバル・デリバリー・サービス部門上級副社長のジョン・フェルト氏は説明する。

輸送費急騰、コンテナ不足、人手不足

 米CNBCによると、今年は多くの小売業者がサプライチェーン問題に直面している。背景にはコンテナ輸送コストの急騰やコンテナ不足、積み出し港における新型コロナの感染拡大、積み降ろし港や物流倉庫における人手不足などがあるという。

 先ごろは、米西海岸に運ばれてきたコンテナが荷下ろしされず、大量に積み上がっていると米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが報じた。港湾や陸上輸送業者、物流倉庫業者などでの人手不足が原因だという。数万ものコンテナがロサンゼルス港とロングビーチ港にとどまり、60隻以上の貨物船が入港待ちの状態。両港は、米国の輸入量の4割以上をさばいており年末商戦に影響が出そうだと伝えていた。