「指名買い」のファンを醸成

 多様なサービスとは、まず2019年6月から「CRISP APP」などの開発・運用ノウハウをもとに、飲食店向けのモバイルオーダーソリューション「CRISP PLATFORM」の提供を開始したこと。これはCRISPが培ってきた知見を生かして外部の飲食店のDXをサポートするというものだ。

 2020年8月にはデリバリーを、デリバリープラットフォーマーへ委託していたものを一部のエリアで自社デリバリーの「CRISP DERIVERY」に変えた。

 2020年冬からは「CRISP BASE」を提供。これはオフィスの中にサラダが食べたい人が5人以上集まることで「CRISP SALAD WORKS」のバーチャル店舗を開設、決まった時間に配送料無料でサラダを届けるというサービス。現在、約80カ所で行っている(週1回・5食が目安)。

 そして、今年に入り、7月「CRISP REPLENISH」を立ち上げた。これはサラダのサブスクリプションサービスで、お客が選んだカスタムサラダを、指定した場所に無料配送するもの。週に2回以上注文することでこのサービスが可能となる。

 宮野氏はこう語る。

「モバイルオーダーはコロナ禍の以前から商業施設の関係者の間で話題になっていた。ランチタイムのお弁当売場はものすごい行列になっている。お弁当屋さんも何がたくさん売れているのか把握できないで廃棄が出ている。だから、モバイルオーダーの事前注文は役に立つだろうと。しかしながら、あまり普及しなかった。それはお客さまがランチに食べるお弁当を、購入するぎりぎりになるまで決めないから。結果、たまたま目にした店舗で『これでいっか』という感じで決める」

 この「たまたま目にした店舗で」という購入動機に対応した店舗が「CRISP STATION」ということなのだ。

 その一方で、「CRISP SALAD WORKS」でモバイルオーダーが普及した背景について、宮野氏は、こう語る。

「モバイルオーダーが一般化したのは、ここのサラダが食べたいというファンが生まれたから。要するに90分前にモバイルオーダーから『指名買い』をして、その時間になったらピックアップするというスタイルが出来上がっていった」

 ちなみに、「CRISP SALAD WORKS」のお客の現状は4割がモバイルオーダーによるもので、丸の内店に至っては7割を占めている。

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