こうした状況についてロイターは、「世界的な半導体不足が続く中、アップルは他のどのスマホメーカーよりもうまくピンチを切り抜けている」と報じている。アップルはその購買力と半導体メーカーとの長期契約によって供給不足をうまく回避しているという。

 また、シンガポールに本部を置く調査会社カナリスのアナリストは、「供給不足問題は低価格スマホに打撃を与えており、高価格帯が主流のアップルは他のメーカーよりも影響を受けにくい」と指摘。香港の調査会社カウンターポイント・リサーチのアナリストは、アップルの21年10~12月期におけるスマホシェアが20%近くになると予測している。

ついにアップルにも影響か

 ただ、深刻化する部品不足は市場全体に及んでおり、今後はアップルも一定の影響を受けるとみられている。これまでサプライチェーン(供給網)問題はスマホ出荷台数の伸びを抑制するものの、減少に転じさせるとは考えられていなかった。だがここに来て状況は悪化しており、今後はすべてのメーカーが等しく影響を受ける可能性があるとIDCは分析する。

 主要部品の供給問題に加え、新型コロナによる移動制限が物流を停滞させている。中国では当局による電力供給制限で生産が抑制されているという。

 21年7~9月期の世界スマホ出荷台数減少率を地域別に見ると、中・東欧が23.2%減と最も大きく、これにアジア太平洋地域(日本と中国除く)の11.6%減が次いだ。一方で、米国や西欧、中国はそれぞれ0.2%減、4.6%減、4.4%減にとどまっている。これはメーカーが米国、西欧、中国を優先度が高い市場と位置付けているためだという。

 アップルの同四半期の地域別売上高(iPhoneを含む全製品・サービス)は、いずれも2桁増を達成した。中国が83%増と最も高く、欧州が23%増、米大陸が20%増、日本は19%増だった。

 (参考・関連記事)「新型iPhone、「お得感」で中国の消費者に好評 | JDIR