セブン-イレブンの「ネットコンビニ」は店舗利用とカニバらない

 セブン&アイのラストワンマイルは戦略の柱のもう一つがネットコンビニだ。ネットコンビニは、スマホで注文すると、付近の店舗から指定の場所に商品が届く仕組みだ。2万店を超すセブン-イレブンの店舗網はお客との接点が圧倒的に多く、お客が欲しいものを欲しい時に届けられるインフラが既に整っている。

 セブン-イレブンのネットコンビニは18年4月に北海道で開始した。その後、広島県、東京都に広げ、現在約550店で実験している。2021年度は1200店(期初計画では1000店舗)に拡大。さらに中期経営計画の最終年度の25年度には全国展開を見込む。

 20年10月からリアルタイムでの在庫確認が可能になり、同12月からは配送時間を2時間から最短30分に短縮し、利便性の向上を図った。これによりリアル店舗との比較で買上点数は2.8倍、客単価は3.1倍となっている。

 具体的には、電子マネー「nanaco」会員の店舗における平均的な買上点数は3.6点だが、ネットコンビニでは10.1点。客単価も2287円と、店舗での平均的な客単価737円を大幅に上回った。さらに、ネットコンビニは、店舗利用とカニバリを起こしていないことも分かった。

 ネットコンビニを軸にグループ間での協業も進めている。現在、ネットコンビニはセブン-イレブンアプリの独自サイト、デニーズのデリバリーは出前館のサイトから注文する仕組みになっている。今後、この仕組みをグループに拡大する。井阪隆一社長は「頂いた注文データを物流プログラムのプラットフォームにおいて、AI(人工知能)を活用し車両、ドライバー、配送料、配送ルート、受取場所の最適化による効率的な運用の実現を目指す。この物流プログラムのプラットフォームをグループ全体で最大限に活用し、お客さまにセブン&アイの商品を最適な形でお届けしたいと考えている」と話す。

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