成熟経済で勝ち続けるためには価値の創出が必須
この先、競争の激しい小売業界で企業が確固たる存在感を示すために、何が必要か。鈴木氏は次のように述べる。
「成熟した小売業界で勝ち残るためには、高価値の創出が必須となります。高価値とは、お客さまにとって差別化された価値のことです」
「差別化された価値」(高価値)とは、「自社が提供でき、消費者が欲しいと思っていて、かつ競合が提供できないもの」(上図[1]のエリア)。[2]や[3]で提供できる価値は、競合も提供できるか、競合しか提供できないため、自社の差別化にならない。
しかし、このエリアを狙うのは簡単なことではない。鈴木氏はこうエールを送る。
「1つの業界で複数の勝者が共存できるということを覚えておいてください。競争戦略とは競争相手との違いをつくることです。1つの戦略だけが正しいというわけではないのです。大事なのは、いかに相手とは違う戦略をつくり上げるか、違うポイントをつくり上げるか。この点に尽きます」
徹底的な顧客中心の思考と他社との差別化。これを実現するためのデジタル技術のフル活用・・・。アイデア一つで、今までにない価値を生み出した例は次々と登場している。諦めることなく不断の探求を続けたい。